「対話攻勢ショー」繰り広げる北朝鮮
交渉が楽な相手だけを選んでメッセージ伝達か
北朝鮮外務省の報道官は16日、「6カ国協議を含むあらゆる対話の提案は支持するが、こちらから物乞いのように対話を求めることはない」との談話を発表した。
朝鮮中央通信によると、同報道官は、「さまざまな前提条件を突きつけるという手口を使い、米国はあらゆる対話の提案を足げにすることで、朝鮮半島に戦争の雰囲気を高めることに熱を上げている」「われわれ(北朝鮮)の自律的な軽水炉建設と燃料確保のためのウラン濃縮は、電力生産のための平和的な活動だ」などと主張した。
韓国海軍哨戒艦「天安」沈没、ウラン濃縮施設公開、延坪島砲撃など、北朝鮮はこれまで挑発のレベルを高めてきたが、最近は突然、「対話攻勢ショー」を展開している。金正日(キム・ジョンイル)総書記は今月9日、北朝鮮を訪問した中国の戴秉国・国務委員(外交担当)(副首相級)に対し、「国際原子力機関(IAEA)による核査察の受け入れを検討する」という内容の言及を行ったのに続き、16日には米国のリチャードソン・ニューメキシコ州知事を平壌に呼び寄せた。韓国政府の安全保障関連部処(省庁)の当局者は、「ウラン濃縮で緊張を高めることで、6カ国協議の雰囲気を再び作り上げ、そこで挑発に対する補償を求めてくるだろう」と予想した。自分たちが話しやすい相手を選び、一方的なメッセージばかりを伝えることで、流れを有利な方向に持っていこうとしているのだ。
IAEAによる核査察は、韓米日3カ国が提示した6カ国協議再開のための五つの前提条件の一つだ。北朝鮮は、「査察を受け入れるかどうか検討する」との意向を、おとなしく話を聞いてくれる中国を通じて後から伝えてきた。また、リチャードソン州知事は平壌入りする前に北京でCNNのインタビューに応じ、「これまで何度か北朝鮮を訪問したが、彼らがわたしを呼ぶのは、いつも何らかのメッセージを伝えるためだ。北朝鮮滞在中に、統治者たちからメッセージを受け取ることを期待したい」と述べた。今回北朝鮮は、CNNの看板キャスターであるウルフ・ブリッツァー氏の同行取材も認めた。北朝鮮は今年10月の朝鮮労働党創設65周年記念閲兵式、2008年の寧辺核施設冷却塔爆破など、対外的な宣伝が必要と判断した場合に限り、海外のマスコミ関係者による訪問取材を認めてきた。
アン・ヨンヒョン記者
ワシントン=イム・ミンヒョク特派員