2010年12月15日(水)放送 あきらめないで!脳卒中のリハビリ 重いマヒ リハビリのコツ
きょうの健康
重いマヒが残った場合
 脳卒中の後遺症で重いマヒがあると、体を思うように動かすことができないため“リハビリを行うのは難しい”と考えたり、時間的な問題などであきらめている場合があるでしょう。しかし、重いマヒがある場合は、日常生活のちょっとした動作を自分で行い、それを毎日続けることでも、十分なリハビリになります。少しずつでも“できることを続けていく”ことが大切です。

重いマヒ リハビリしにくい場合

重いマヒ リハビリのコツ
寝たきりの状態を予防する
 重いマヒがあると自分でベッドから起き上がるのは難しいものです。しかし、寝たきりの状態が続くと、筋肉はほとんど使われず、骨にも負荷がかからなくなり、骨も筋肉も衰えてしまいます。また、起き上がったときにめまいも起こしやすくなります。寝たきりの状態を予防する第一歩としては、“起き上がって、座る”ことが重要です。

 比較的容易な方法として、ベッドにあおむけに寝た状態からマヒのない側が下になるように寝返りを打ち、ひじをベッドについて両足をベッドの脇に出し、ひじで支えながらゆっくり上体を起こす、というやり方があります。また、車いすなどに乗り移る場合に、マヒのない側(健康な手の側)に車いすを設置することも大切です。患者さんが自分の力をある程度使い、乗り移ることが出来るので、介護者の負担も軽くなります。起き上がって座れるようになれば、やがて、自分でトイレに行ったり食事をするなどの自立につながります。

マヒの無い側を下にする
(サポーターがある側をマヒ側とみなす)

ひじで支えながらゆっくり状態を起こす

マヒの無い側の手で支えながら移動する

車いすはマヒの無い側に設置する
小さな動作をリハビリに
 マヒがあると、腕や手首、指が曲がった状態になり、伸ばしたり開いたりするのが難しくなります。これをほうっておくと、関節が硬くなる拘縮(こうしゅく)が起こります。予防のためには、腕や手首、指をほぐして伸ばすストレッチが必要です。自分で腕を動かせる場合は、体の前で両手を組みひじを伸ばし、マヒのない側の腕でマヒのある腕を引っ張るようにして腕を上げる動作を、痛みのない範囲でゆっくり行います。これを、数回の上げ下げを1セットとして、朝夕1セット以上ずつ行うようにします。

 また、“手を洗う”“髪をとかす”“ひげをそる”などの小さな動作を毎日続けることがリハビリになります。小さなことでも患者さん自身が行ってできると、本人にも家族に大きな励みになります。ゆっくり見守りましょう。

両手を組むようにする

マヒの無い側で支えながら肘を伸ばす

腕を上げ下げする