小学生が賄賂や買収…学級委員選挙は中国政治腐敗の縮図か!?
週刊SPA! 12月15日(水)13時30分配信
この季節、中国の小学生たちは心穏やかではない日々を送っている。というのも、多くの小学校で、この時期に学級委員選挙が行われるからだ。日本の小学校では、ともすれば押しつけ合いになる学級委員の職だが、中国の小学生がそのポストに燃やす野心たるや並大抵ではない。
北京市内の小学1年生180人を対象に行われた調査によると、9割の児童が何らかの学級委員に、7割が学級委員長になりたいと回答。理由は「権威があるから」「人を管理する立場になりたいから」などの答えが目立ったという(『環球時報』11月19日付)。
そんななか、当選のためには手段を選ばない子供たちもいる。『中国日報網』(11月18日付)によると、昆明市内の小学校で、学級委員長に立候補した児童が“有権者”である同級生に飴や鉛筆を配り、票を獲得するという買収行為を行ったというのだ。さらに「僕に投票してくれたら100元(約1200円)あげる」と、現金を提示した福建省の小学2年生や、投票を管理する教師に金品を渡すよう、8歳の小学生が親に依頼した例など、発展途上国顔負けの“腐敗選挙”が、各地で展開されているのだ(『遼寧日報』11月10日付)。
広州市の日系メーカー勤務・安岡栄太郎さん(仮名・33歳)によれば、選挙戦は学校内だけに留まらないという。
「ウチの工員の子供の多くは同じ小学校に通っているんですが、あるとき職場に『愚息が学級委員選挙に出馬することになったので、皆様のご子弟の清き一票を賜りたくご挨拶にやってきました』と、石鹸やお菓子を持ってやって来た親がいた。かと思うと、翌日には『あの子は過去に暴力事件を起こした粗暴な子。去年まで夜尿症が治らなかった』などと名指しした怪文書のごときSMSが、工員の間で出回っていました。その子のライバルの親の仕業でしょう」
中国在住のフリーライター・吉井透氏は、こうした学級委員選挙の過熱ぶりについてこう解説する。
「中国では『人の上に立つ』ことの重要性を、幼少の頃から教え込む親が多い。そのため、権力欲に取り憑かれる子供が多い。また、学級委員選挙は、庶民に生まれた者が権力の座につくことができる、まさに一世一代のチャンス。だから、親たちは競って子供たちを選挙に駆り立てるんです。彼らは、ちょうど天安門事件で学生だった世代。叶わなかった“民主政治”への憧れを、子供たちの学級委員選挙に投影して白熱してしまうのかもしれません」
ところで、こうした激戦を経て晴れて委員に当選した児童はどうなるか。北京市に住む主婦の大西靖子さん(仮名・34歳)の話。
「小学3年生くらいの男子が、通学路で買い食いをしていたクラスメイトに対し『君の素行は、風紀委員として看過できない。先生に報告させてもらう。ま、そのお菓子を僕に渡すのなら話は別だがね』と“賄賂”を要求しているのを見たことがある。また、近所に住む小学4年生の男子は、学級委員長に選出された年、クラスの女子全員からバレンタインのチョコをもらったそう。ちなみに翌年、落選しチョコはゼロだったとか…」
女もカネも権力があればこそ。中国の小学生は、子供の頃からとんでもない現実を学ぶようだ。
■ポスト多すぎ? 学級委員の職務
多くの小学生が憧れる学級委員のポスト。その職務内容はどんなものなのだろうか。以下は、ある小学校で定められた「学級委員職責」の一例。「小学生にここまでさせるか?」というような重責や権限も連ねられている一方、「照明責任者」や「窓開閉担当委員」など、どうでもいいものも。これは学級委員になりたい児童が多いためで、保護者の意向もあるんだとか。ある小学校では、40人のクラスに50ものポストが設けられていた例もあるという。
・学級委員長 担任教師との連絡役となりクラスのあらゆる秩序維持に努める
・宣伝委員 連絡事項などの宣伝工作を担い、クラスの不良現象の批判も行う
・生活委員 飲み水の管理や、急病人の処置。疫病発生時には教室の消毒を行う
・規律委員 級友同士の争いが発生した場合、適切に仲裁、教師への報告を行う
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最終更新:12月15日(水)13時33分