検事総長 辞職の意向固める
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検事総長 辞職の意向固める

12月16日 19時36分 twitterでつぶやく(クリックするとNHKサイトを離れます)

検察庁トップの大林宏検事総長が、大阪地検特捜部の元部長らが逮捕・起訴された一連の事件の責任を取って今月末にも辞職する意向を固めたことが、検察関係者への取材でわかりました。不祥事の責任を取って検事総長が任期の途中で辞職するのは、初めてです。

大林宏検事総長(63)は、法務省の事務次官や東京高等検察庁の検事長などを経て、ことし6月、全国の検察庁を指揮する最高検察庁トップの検事総長に就任しました。しかし、就任3か月後のことし9月、厚生労働省の局長だった村木厚子さんの無罪が確定した事件をめぐって、大阪地検特捜部の元主任検事が証拠を改ざんしたとして逮捕・起訴されたほか、当時の特捜部長と副部長が改ざんを把握しながら隠蔽したとして、逮捕・起訴される前例のない事件が起きました。一連の事件では、元特捜部長ら3人が懲戒免職処分になったほか、上司ら6人も処分を受け、このうち3人が辞職しました。大林検事総長は、一連の事件についてことし10月、記者会見し、「前代未聞の事態に至ったことについて、国民の皆さまに深くおわび申し上げたい」と謝罪したうえで、みずからの進退については「失われた国民の検察に対する信頼を一刻も早く回復することが、私の果たすべき責任です」と話していました。最高検察庁は、村木さんの無罪が確定した事件や一連の事件について、捜査や裁判のどこに問題があったのか検証作業を進めていて、今月24日に再発防止策と共に公表することにしています。検察関係者によりますと、大林検事総長は、検証結果がまとまるのを区切りに、一連の事件の責任を取って今月末にも辞職する意向を固めたということです。大林検事総長の任期は、65歳になる再来年の6月まででした。不祥事の責任を取って検事総長が任期の途中で辞職するのは、初めてです。さらに最高検ナンバー2の伊藤鉄男次長検事(62)も定年を待たずに辞職する意向だということで、最高検は、改革を進めるため態勢を一新する必要があると判断したとみられます。後任の検事総長は、東京高等検察庁の笠間治雄検事長(62)を軸に調整が行われているということです。無罪が確定した村木厚子さんの弁護を担当した弘中惇一郎弁護士は「事件の捜査について責任を感じて辞職するということ自体はプラスに評価したい。しかし、検察庁として個別の事件の立証に失敗したことへの反省程度なのか、あるいは、基本的な捜査の問題点について反省するのか、今月24日に公表される最高検察庁の検証結果を見てから評価したい」と話しています。大林検事総長が辞職の意向を固めたことについて、元東京地検特捜部副部長の堀田力さんは「再発防止策を作った段階で辞職するのは最も適切なタイミングだし、潔い判断だと思う。辞職する際には理由をうやむやにせず、事件の責任をとって辞めると明らかにすることで、絶対に同じような事件を起こさないということを検察官全員に強く自覚させてほしい」と話しています。大林検事総長が辞職の意向を固めたことについて、検察改革を議論している法務省の検討会議の委員でジャーナリストの嶌信彦さんは「辞職はある意味当然だと感じる。検察が証拠を改ざんするという前代未聞のことをやって、えん罪事件を起こしたわけだから、最高検としても何らかの責任を取らざるを得ないのが実情だと思う。検察は絶大な権力を持っているので、もう少し謙虚な姿勢を国民の前に示すような改革を行うことが大事だ」と話しています。