きょうのコラム「時鐘」 2010年12月17日

 よく分からないものの一つに「1票の格差」裁判がある。きのうも二つの判決があり、7月の参院選は「違憲状態」とされた

最大5・00倍の格差は「大きな不平等」だそうだが、合憲という判決も以前に出ている。とんと分からぬ話だが、四角四面に格差を手直ししていくとどうなるかは、簡単に想像がつく。大都市の議員ばかりが増え、地方の言い分は通りにくくなる

世の中には、けしからぬ不平等もあるが、「あしき平等」もある。1票の格差に文句を言うのは、おおむね大都会の有権者。理屈が通っているように見えて、結果として地方軽視の身勝手を招くことになりかねない。自分たちは新幹線の恩恵にあずかりながら、北陸新幹線に冷淡な顔を向け続ける大都会のわがままに、どこか似ている

1票の重さ、軽さを問題にするわりには、大都会の投票率は低い。票の重みを果たしてどこまで真剣に考えているのか、地方に暮らす者には分からぬことだらけである

格差ある1票で選ばれた「選良」は昨今、おしなべて軽い。人物の重みに格差があって当然なはずで、こっちの方が、よほど深刻だろう。