「神のみぞ知るセカイ」
中川かのんデビューイベント2010WINTER
“ゆーでぃーえっくす制圧!いっくよー!”
日時:2010/12/04(sat)
場所:秋葉原UDX2階「AKIBA SQUARE」
出演:中川かのん(東山奈央さん)、スペシャルゲスト伊藤かな恵さん
司会:繁田美貴さん(テレビ東京アナウンサー)
おもな登場人物
ジェネオンの宣伝担当 【けるぷ】 私
ジェネオンの制作担当 [G_m]
甲さん 我々が信頼する音楽ディレクター
※【けるぷ】、[G_m]はtwitter上でのHNです。
さて、いよいよイベントにむけて動きだした訳ですが、すべての始まりはステージの内容を決めることからです。
イベント全体の尺/曲数/トークの内容/企画/司会のキャスティング。
ここで理想の地図を描けたら…あとは実現にむけてGO!です。
しかし進めるにあたって注意しなければいけないのは、このイベントは[G_m] と私だけのイベントではないということ。
いかに作品宣伝とはいえ「神のみぞ知るセカイ」の世界観と中川かのんというキャラクター肖像権(←言い方が固いですよね(笑)、ははは…。)をお借りし、
東山奈央さんという声優さんにご出演いただくイベントですから、原作元さん含めた製作委員会との連携が絶対に必要。
そして東山さんの所属事務所さんとひとつひとつ相談しながら慎重に進めることも大切なことです。
今回は製作委員会の理解はもちろんですが、東山さんの事務所さんからは特に大きな協力をいただきました。
曲数のこと、衣装のこと、リハーサルについて、当日の取材についてetc
多くの案件をやり取りさせていただきましたが、その都度、明快で正確なお返事をいただきました。
これは本当にありがたいことでした。
では、この後は具体的に項目ごとに話を進めてみます。
イベントのイメージ
[G_m] といろいろ検討した結果、ステージのトータル尺は45分、歌唱は3曲としました。
曲は「ハッピークレセント」「LOVE KANON」、もう1曲は第7話の内容に手応えを感じていたので「らぶこーる」としました。バラードが入ることで曲にバリエーションがついてよかったと思っています。
それと歌の合間に東山さんの人柄がわかるようなトークコーナーを挟み込んでみることに。
それが『東山奈央一問一答Bang Bang』コーナーです。
ここは歌を邪魔しない程度の軽いコーナーとしてみました。
また、アニメ本編との関わりを強く持たせたかったので、本編のキャストさんをゲストにお呼びすることが必要だと思いました。(しかし出演はあくまでシークレット。前述の通り、神のみファンの皆様に驚いていただくことこそ最も大切。スペシャルゲストを事前告知して、お客さんの動員を高めることになんの意味もありません。あくまで中川かのんと東山奈央のイベントとして運営することを目指しました)
結果、エルシィ役の伊藤かな恵さんのスケジュールをいただけてご出演いただくことができたのですが、それにしても当日、伊藤さんの会場入りは気を使いました。絶対に秘密にしたかったのでw
それと司会のご担当ですがアイドルをモチーフにしたイベントですから、正統派の司会ができる方で、芸能のムードも併せ持つ方がよいと思っていました。9月に「神のみぞ知るセカイ」の第1話先行上映会がありましたが、その時にも司会を務めていただいたテレビ東京のアナウンサー繁田美貴さんに製作委員会のスタッフを通して打診をしてみることに。
すると!年末のお忙しい時期でしたが時間をやりくりしていただき、ご出演いただけるとのご返事。
伊藤さんも繁田さんもお忙しい方ですが、なんだか今回の出演交渉はみなスムーズでした。
たぶん私か、おそらくやっぱり私か…wでも、もしかしたら[G_m] の日頃の行いがよかったのでしょう はははww
準備の日々
コストを横目で見ながらですが、舞台はしっかり作りこもうと思いました。
しっかり歌ってしっかり踊る。東山さんの実力と可愛さを多くの方に観ていただく。
衣装はもちろんですが、振り付け含めてアイドルらしくステージに立つことにこだわりました。
それと、プラスの要素として80年代のアイドルがそうであったように、ダンサーさんがいたら舞台も賑やかになり、
アイドルのステージらしくなるのでは?そう考えて[G_m] が音楽面でいつも頼りにしている音楽ディレクターの甲さんと連絡をとり、振り付けの先生とダンサーさんの手配をお願いしました。
後日、すごく早いタイミングで振り付けのDVDが届いて、すぐに東山奈央さんには自主練習に励んでもらうことに。
よーし!だんだんとステージの中身が固まってきました。
この後は、どこかで一度、関係スタッフが集まりリハーサルを行う必要があります。
本番と同じ衣装で振り付けの確認、ダンサーさんとの合わせやトークのきっかけなど、いわゆる事前の場当たりをなるべく早い日程で。
そして!東山さん、音楽面のスタッフ、スタイリストさん全員のすり合わせを経て、11月某日、ついに我々はリハーサルスタジオに集結したのです。
イベントのコンセプトを固めてから3週間目のことです。
リハーサル
リハーサル当日、まず最初に行ったのは全員が初対面に近いのでご紹介と挨拶から。
ダンサーさんとは私も始めてお会いしましたが、最初からしっくりとくるものがありました。
そういう直感って大事ですよね。
ダンサーのお二人はまるで双子みたいで、東山さんとの身長のバランスも丁度よく、いつも静かに微笑んでいる様子がとても感じよく思いました。
歌とダンスのリハーサルを始める前に、まずは東山さんの衣装選びから始めました。
今日は本番と同じ衣装でリハーサルをしていただきます。
少しでも当日に向けての不安と負担を解消しておくことが今日のテーマです。
事前にスタイリストさんと打ち合わせをしていましたので、衣装を多目に持ってきていただき、東山さんの好みも聞きながら何着かに絞っていきました。洋服だけでなく、黄色のリボンを数種類もってきていただき、その中で踊りの邪魔にならないもの、かのんの設定に準拠しているもの、そしてご本人の好みも含めて選んでいただきました。
それと!
実はリハーサルに臨むにあたり、私はあるルール決めが必要だと思っていました。
ここの現場には、このイベントに際し、明確な自分の意見を持っている“小うるさい男”が3人いますw
一人目は作品の制作担当[G_m]。
次に音楽面で我々から信頼の厚い甲さん。
そして宣伝担当の私です。
方向がブレないよう、その都度、確認をしながら進めている3人ですが、個人の想いや主観というものがやはりそこにはあります。
その3人が自分の好みやイメージを東山さんに押し付けてはいけないので、棲み分けをしておくことにしました。
ステージの壇上のことは[G_m] が主に取り仕切る、
その中でも歌とダンスの表現、ライブのパフォーマンス部分の確認を甲さんが行う。
私はそれ以外のイベント全般の総務的なことを行う。
信頼しているからこそ、こういう分業が成立するんですけどね。
事務所のご担当のマネージャーさん含めて、各ご担当を信頼しつつ、お任せする箇所を明確にして今回のイベントを進めました。
何事もおごるべからず。自分ひとりでは半人前でございますの精神ですね。押忍…w
さて、衣装が決まったところで早速リハーサル開始!
まずは「LOVE KANON」から。
イントロが流れ、ポーズをとる東山さん、体を左右に揺らし、ちょっと鼻にかかった魅力的な声で歌いだします。
お馴染みの小さなジャンプをしてBang Bang!の振り付けもすごくキュートです。
左右に揺れるリボンも軽やかでいい感じです。
ダンサーさんとのダンスがほぼ一発目で合っていることにびっくりしました。
これは相当、家で練習してきたな!という感じでしたね。
今日のリハはダンスで時間がかかると思っていたので、ここまでの合わせを1回目からできたのはすごく助かりました。ダンサーさんのお二人も、思わず
“東山さんはすごく練習したと思う。ここまで仕上がっていて、びっくりしました”とおっしゃっていましたから。
これまで東山さんとは、主に取材で何回かお会いしてましたが、私の“東山奈央観”を述べてみると、
『利発で素直、家族を大切にしていて、お正月に実家に遊びに来ている、いつの間にか大きくなった親戚の子』というようなイメージでしたがw (このイメージ、しっかり伝わっているでしょうかw もちろん褒めてます。でもなんだか不安ですw ははは…。)
こうして実際に表現者としての姿をみるとやっぱり違いますよね。見直しました。
同時に「よし!東山さんにイベントを任せても大丈夫!やるな、東山奈央。」と、ますます確信を持つことができました。
「ハッピークレセント」は何回かおさらいをしてダンサーさんとの呼吸を合わせるに留めて、ここでは「ゆーでぃえっくす制圧」のコールの作りこみをしました。
繰り返しになりますが東山さんはイベント初出演です。
「ハッピークレセント」の歌前のトークではお客さんとのやり取りがポイントです。
かのん 「みなさん 一緒にコールしてくれますかー?いきますよ、せーの!」
お客様 「ゆーでぃーえっくす せいあつー!!」
かのん 「いっくよーっ!」
この流れが想定ですが、ライブは生き物ですから、お客様はどのようなリアクションをしてくださるかわかりません。また、ここは絶対にハズしてはいけない場面ですよね。
ゆーでぃーえっくすを制圧した!と、その宣言を会場全員で声高に叫ばなければいけません。
イベントの一番のポイントですから、注意深くみんなで前後の流れの確認をしました。
さて、歌リハの最後は中川かのん渾身のバラード「らぶこーる」。
振り付けは東山さんご自身の感情表現に任せることに。
甲さんからのアドバイスで詞の内容を租借して、会場の皆さんを歌の世界にそっと誘うようにすることが大切。
でもこういう振り付けって、一歩間違うと演歌になってしまうから、そこは気をつけるようにと(笑)。
東山さんの歌声が美しくて、「らぶこーる」は会場のお客様は絶対に喜んでくださるはず、そういうイメージがわきましたね。この選曲は本当に正解でした。
ひととおりのリハーサルの後、東山さんから、
「当日のステージではお二人のダンサーさんの紹介をどのようしたらいいでしょうか?」と質問を受けました。
しかし[G_m] と甲さん、そして私の中で、実はその想定はありませんでした。
今回はとても短い時間のイベントですから、舞台上の要素として「中川かのん/東山奈央」以外の意味合いを持たせなくてもよいと思っていました。
一見、冷たいように聞こえますが、お客様にしっかりとしたコンセプトの演目をお見せしようと思ったら、そういうメリハリは必要です。
東山さんとしては一緒にステージを盛り上げていただくダンサーお二人に対して、感謝のお気持ちもあったのだと思います。しかしそこの理由を[G_m] が説明し、東山さんもすぐに納得をいただきましたが、東山さんの人間味と優しさを見たような気がして、ますます「東山よー、おぬしやりよるな!」と思いました。
親戚の子がいつの間にか、ますます立派な大人になりよったw 。そんな感じですね。
この日のリハーサルは東山奈央さんのいろいろな面を知ることができた、とてもよいリハーサルとなりました。
それと東山奈央さんの才能の片鱗を感じる機会にも。
ここでの課題を持ち帰り、この何週間か後にはいよいよイベントの本番を迎えることになります。
最後に
大勢の人間が関わる舞台仕事において、舞台のセンターに立つ人間には義務と責任があります。
大きな舞台でも小さな舞台でも、それはきっと変わりません。
その責任に対して、前向きに真摯に、そして時に恐れを抱きながら前に進んでいくアーティストを尊敬します。
その時の東山奈央さんに、我々はその決意と強さを感じました。
今回のイベント、この時点ではひとつひとつのパーツが揃ったばかり、やっと全容が見えてきてはいますが
我々には未だ成功の確信はありません。
12/4はどれだけのお客様が足を運んでくれるのだろうか
順調に進んではいるが準備に見落としはないか?
強い雨など降らねばよいが。
否、先のことなど誰が知ろう
物事は万端の準備の後でも未知の要素に溢れているもの
しかし、当日の舞台をイメージした時、たったひとつ確かなことがある
それは
自分の才能を信じ、ステージに立つ者の責任を全うしようと、
さらに研鑽をかさねた東山さんの姿。
<了>