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菅政権、海図なきまま税制改正で“大玉”連発 (1/2ページ)
法人税率引き下げや環境税導入、所得税の控除見直しなど税制改正大綱には、「本来は数年議論してまとめるような“大玉”」(財務省幹部)が軒並み盛り込まれ、歴代政権が手をつけられなかった問題に踏み込んだ。ただ、成果を急ぐあまり財源捻出のつじつま合わせに終始したことも確かだ。何よりも求められるのは、企業減税をどう成長に結びつけるかなど中長期的な国家戦略を示すことだが、そのための“海図”は描けていない。
高額所得者中心に課税を強める所得税の控除見直しや相続税増税は、民主党が理念として掲げる「格差是正」につながるものだ。目玉の法人減税では、菅直人首相が「最後は私の責任で決める」と大見えを切って3%減税を主張する財務省案を退けた。雇用創出にかける首相の政治主導をアピールするもので、経済界の悲願だった減税を実現した点で、大きな前進といえる。
ただ、マニフェスト(政権公約)などで掲げた看板政策の実現を優先するあまり、本来、必要な税制論議がどこまで深められたかには疑問が残る。相続税増税なども、法人税減税や子ども手当増額を実現するため、「なりふり構わず、取れるところから税金をかき集める帳尻合わせ」(政府関係者)で議論された。税収が落ち込み、特別会計の剰余金などの「埋蔵金」が枯渇する中で増税に走ったのが実情だ。