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【コラム】

筆洗

2010年12月16日

 毒舌トークで人気のあるタレント、マツコ・デラックスさんが、石原慎太郎東京都知事をテレビ番組で激しく批判し、話題になっている。きっかけは、同性愛者を蔑視する知事の発言だった▼過激な性描写のある漫画などを規制する青少年健全育成条例改正の陳情をPTA団体から受けた際、知事は同性愛者がテレビ出演することを批判。さらに、「(同性愛者は)どこか足りない感じがする。遺伝とかのせいでしょう。マイノリティーで気の毒ですよ」と語っていた▼公の立場で差別的な発言をするような政治家が力をいれる政策は、「すべて信憑(しんぴょう)性がなくなる」とマツコさんが言及した都の条例改正案がきのう、都議会本会議で可決、成立した▼過激な性描写のある漫画など子どもには読ませたくないという親の気持ちは当然のことだ。ただ、きわどい性表現のある作品の販売は、現行条例で成人コーナーに制限されるなど、すでに厳しく規制されている現実がある▼これまでの条例の運用で対応できるのになぜ新たな行政の介入が必要なのか。そんな声が出版界には根強い。「表現の自由を侵害する危険が増した」と多くの漫画家や出版関係者から危ぶむ声が噴出しているのは分かる▼国旗国歌法案の国会審議中、小渕内閣が「強制はしない」と繰り返していたのに、教員を大量に処分してきたのは東京都なのだから。

 

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