2010年12月16日4時1分
大手ゼネコンの鹿島(東京)が大阪市内で21階建てのビルを建設した際、鉄骨1本が横に6〜7センチ傾いたのに、現場の工事事務所長がそのままビルを完成させていたことが鹿島への取材で分かった。同社は安全面に問題はないと説明している。大阪市は11月、建築基準法に基づき、安全性を確認するよう指導した。
鹿島によると、2007年から08年にかけてJR大阪駅近くの大阪市北区内で工事した際、地下1階から3階までわたす十数メートルの鉄骨のうち1本が、測量ミスのため傾いた。鹿島社員の工事事務所長はミスに気づいたが、工事を続行。3階より上につないだ別の鉄骨を逆方向に傾けて補正したという。設計会社に提出した資料には、設計図通りに完成したと記載していた。
これらの事実関係は鹿島本社や関西支店には報告されなかったが、その後、内部告発とみられる情報がインターネット上に流れ、鹿島は今年10月に調査を開始し、大阪市に報告した。市から指導を受けた鹿島は、第三者の検査機関に安全性の確認を依頼し、「構造的に問題ない」との結論を受けたという。工事事務所長は同社に「工事をやり直せば工期に間に合わないと思った」と話しているという。
鹿島本社の広報担当者は「施工ミスをして申し訳ない。工事事務所長を処分し、各支店が現場を監督する体制を強化する」と説明している。市建築指導部は「鉄骨の傾きがわかった段階で安全性を確認すべきであり、問題だ」と指摘している。