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2010-12-11

スピリチュアリズムの否定


 根本的な問題は、今の世の中がスピリチュアルなものに対して肯定的に動いているということです。21世紀はスピリチュアルに対して否定的に動かなければいけません。しかし現実には、どうしてもスピリチュアルにはまっていく人がいます。


【『スピリチュアリズム苫米地英人〈とまべち・ひでと〉(にんげん出版、2007年)】


 一応私の手の内は全部さらしているつもりだ。読むべき人が読めばわかる仕掛けとなっている。


 コメント欄を再び開いたのは、ウェブ上における学会員のレベルを判断するためであって他意はない。一瞥してわかるのは、制度宗教に特有な依存心の強さ、思考範囲の狭さ、自己完結していない物語性が顕著だ。多分、彼らは死ぬまで凡庸の海を漂うことだろう。同じ失敗を何度も何度も繰り返しているうちに、「失敗する傾向性」が盤石になってゆく。


 いくらヒントを出しても、わかる人がいないようなので一歩踏み込むことにしよう。


 まず苫米地英人であるが、私は彼の著作を好んで読んでいるが、その人格を信頼したことはただの一度もない。にもかかわらず、抽象度の高い視点から科学と宗教とを結ぶ思考は群を抜いている。既成宗教が手をつけていない問題に次々とアプローチしている。


 本書は江原啓之〈えはら・ひろゆき〉を批判した内容であるが、苫米地のいうスピリチュアリズムは世界標準と考えてよい。


 スピリチュアリズムはマルクス主義に対抗する形で高まったムーブメントだった。つまりキリスト教を真ん中にして左に唯物論、右に唯心論ってわけだ。二元論が拡張されたと考えることも可能であると思う。


 心理学の分野ではフロイト、ユング、マズローなどによってトランスパーソナル心理学を開拓した。これもスピリチュアリズムの系譜に連なっている。文学ではエマソン、ソロー、ホイットマンなど。


 スピリチュアリズムに刻印されている霊性=神秘とは、飽くまでもキリスト思想から見た立場であることを踏まえるべきだ。神秘は神様の専売特許ってわけだよ。


 とするとマルクス主義への対抗というよりは、教会に対する反動であったのかもしれない。


 フランスを中心とするヨーロッパ世界で最も受け入れられた仏教思想は禅の思想である。『存在と時間』を著したハイデガーは、道元の『正法眼蔵』で既に自分の哲学が説かれていたことを知って驚嘆した。


 時間がなくなってきた。結論を急ごう。


 なぜヨーロッパでは禅の思想以外は受け入れられないのか? それはマントラ(呪文および真言)を唱える宗教はスピリチュアリズムそのものであるからだ。鎌倉仏教はいずれも最澄や空海の系譜に連なっており、密教化を避けることができなかった。このため鎌倉仏教は仏教に非ず、という主張は今もなお根強い。


 因果とは物語性のことではあるまい。起承転結という時間性を有するのであれば、因果倶時は成立し得ない。因果から物語性を引きずり出して、縁起に置き換える必要がある。


 スピリチュアリズム一つとってみても、ここまで説明を要する。「一を見て十を知る」には十の知識と感受性が必要だ。青年は徹底して学べ。中高年は去ってよし(笑)。

スピリチュアリズム

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