釜山少女暴行殺害:判決めぐり論争(上)
死刑判決を破棄し無期懲役に
反対の立場「偶発的な殺人と見なし、再犯の恐れを看過したのは寛大すぎる」
賛成の立場「極刑を避けようと苦心した面がうかがえる。裁判所の判決を尊重すべき」
釜山高等法院(高等裁判所に相当)刑事2部は15日、釜山で女子中学生を連れ去り、性的暴行を加えて殺害した罪に問われ起訴されたキム・ギルテ被告(33)に対し、死刑判決を下した1審を破棄し、無期懲役を言い渡した。
裁判部は減刑の理由について、「道で生まれたという意味でつけられた被告の名前でも分かるように、被告は成長過程で家族との絆を断絶され、前科者としての社会的冷遇など家族と社会から見放された故に、反社会的な人格障害を持つ犯罪者となった。社会的な責任を度外視したまま、すべての過ちを被告個人のせいにするのは過酷」と説明した。
続けて「被告人の犯罪前歴をなどから考慮すると、最初から計画的に被害者を殺害する意図はなく、被害者が激しく抵抗したため、偶発的に殺害したものとみられる。殺人罪の前科はなく、同事件も一人を殺害したにとどまる」と述べた。加えて「犯行当時、被告人が正常な精神状態だったと断定するのは困難。各種精神鑑定の結果については、現代の精神科学および医学の不完全な面を考慮しなければならない。死刑宣告は、不特定多数を無慈悲かつ計画的に殺害するなど、生きていること自体が国家と社会の価値と存立できない条件にある場合に下される」と説明した。
法曹界ではこの判決について、凶悪犯罪に対してあまりにも温情的だとの声が上がっている。キム被告は1997年、執行猶予期間中に未成年者に対する性的暴行未遂事件を起こし、2001年には出所から1カ月半余りで主婦を九日間監禁、性的暴行を加える事件を起こしている。さらに今年も、20代の女性を監禁し、性的暴行に及んだ。従って今回の判決は 教化と再犯の可能性から見て、寛大すぎるとの見方だ。