JR和歌山駅(和歌山市)付近の街頭宣伝で、宣伝カーを使うケースが減っている。市民団体側は「警察の規制が厳しくなった。表現の自由を脅かす」と反発しているが、県警は「対応は従来と変わらない」とし、言い分はかみ合わないままだ。【岡村崇】
弁護士らが今年10月結成した「街頭宣伝の自由を守る和歌山の会」(市川純夫、小野原聡史代表)によると、昨年9月9日、市民団体が同駅付近で宣伝カーを停車させて憲法九条の擁護を主張。すると近くの交番の警察官に、停車して活動するための許可を取るように求められた。この市民団体は今は宣伝カーを使っていない。他にも同様のケースが数件あるといい、同会は「昨夏以前には注意されたことがない。車を使えないと宣伝効果が弱まる」としている。
路上での街頭宣伝には、道交法に定めた道路使用許可を警察から得る必要があり、同法に基づき各署が許可条件を定める。和歌山東署は駐停車して活動できない場所をこれまで「交通の頻繁な道路」としていたが、昨年8月に「道路」と変更。同会などは、「この変更後に規制が強化された」とみている。
一方、県警交通規制課によると、県内では駐停車しての活動は認めない原則だが、申請時に伝えて問題なければ許可するという。同課は「和歌山東署も含め、ばらつきのあった各署の表現を統一したが、対応は以前と変わらない」としている。
同会は許可条件についての質問状を和歌山東署と和歌山西署に提出する。
毎日新聞 2010年12月15日 地方版