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発明の名称 野菜類の変色防止及び鮮度保持用調味液
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開平6−276931
公開日 平成6年(1994)10月4日
出願番号 特願平4−327192
出願日 平成4年(1992)10月22日
代理人
発明者 山本 征児 / ▲高▼峰 和宏
要約 目的
野菜の物性・味を変えず、安全で、しかも容易で手間のかからない野菜類の変色防止及び鮮度保持用調味液を提供すること。

構成
ポリリジンとエチルアルコールを配合した野菜類の変色防止用調味液、またはポリリジンとエチルアルコールにpH調整剤として有機酸または有機酸塩を配合した野菜類の変色防止及び鮮度保持用調味液であり、殺菌力のあるエチルアルコールに一般細菌、真菌など広い範囲の菌の増殖を抑制する効果をもつポリリジンの組み合わせに、pH調整剤のもつ緩衝作用により、腐敗、変色の原因となる微生物、酵素類の至適状態が変化し、総合的な殺菌、静菌効果を持続させ、さらに、従来から用いられている塩素殺菌では効果が薄いとされている大腸菌群に対しても制菌力を有する。また、ポリリジンが水溶液中でカチオン系の界面活性剤として働き、エチルアルコールの変色及びしおれ防止効果を増強させ、且つ保持力をアップさせる。野菜類の種類、形態に限定されず、広い範囲に適用できる。
特許請求の範囲
1)ポリリジンとエチルアルコールを配合してなる野菜類の色防止及び鮮度保持用調味液2)ポリリジンとエチルアルコールの配合物に、pH調整剤として有機酸または有機酸塩類を配合してなる野菜類の変色防止及び鮮度保持用調味液。
発明の詳細な説明
(産業上の利用分野)本発明は食品工業において、野菜類の変色を防止するとともに、野菜類に付着している微生物を殺菌、制菌し、鮮度を保持するために使用する野菜類の変色防止及び鮮度保持用調味液に関する。
(従来の技術)近年、女性の職場への進出、共稼ぎ夫婦及び単身世帯の増加に伴い、自分で野菜を刻むことが少なくなり、カットされた生野菜を購入するケースが増えてきている。また、最近の傾向では、弁当、惣菜等の中食産業が著しい増大を示し、これらの産業においては、生野菜の使用は必須で、規模が大きくなればなるほど、予めカットされた生野菜の使用が不可欠となっている。しかし、カットされた生野菜類は鮮度の低下が早く、変色すなわち褐変、そしてしおれが生じ、商品価値を著しく低下させる結果を招いている。そのため、次亜塩素酸ナトリウムによる殺菌等が試みられているが、塩素により野菜類の組織が変化を受け、食感が硬く、旨味が消え、洗浄が不十分な場合、塩素臭を感じさせ、さらには、食品衛生上問題となる大腸菌等の低減は不可能で、かなりの高濃度でないと十分な殺菌効果はない。また、次亜塩素酸ナトリウムは、合成殺菌剤のため、安全性の点で問題を残している。
(発明が解決しようとする課題)本発明の目的は、次亜塩素酸ナトリウムと比較して、野菜の物性、味をより自然の状態で維持でき、安全で、しかも、その調合が容易で手間のかからない野菜類の変色防止及び鮮度保持用調味液を提供することにある。一方、本発明者等は、先に食酢とエチルアルコールとキトサンとの混合物に、pH調整剤として有機酸または有機酸塩類を混合したものが、野菜の表面に被膜を作り、保存中の空気による酸化又は酵素による褐変を防止し、また、腐敗の原因となる土壌由来の微生物の増殖を抑え、長期間にわたって鮮度保持が可能となることを見いだし、特許出願(特開平4−13426)を行った。本発明は、上記の知見を基にして、食酢が不快な酸臭を与えることに鑑み、食酢を使用せず、上記と同等の効果を有する野菜類の変色防止及び鮮度保持用調味液を提供することを目的とする。
(課題を解決する為の手段)本発明は、ポリリジンとエチルアルコールの混合品もしくは、これらの混合品にpH調整剤を加えたものが、カット野菜の保存中、空気による酸化又は酵素による褐変を防止し、加えて、食酢等を用いると生じやすいしおれを防ぐこと、さらには、腐敗の原因となる土壌由来の微生物の増殖を抑え、長期間にわたって鮮度保持が可能となることを見いだし、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明に係る野菜類の変色防止及び鮮度保持用調味液は、ポリリジンとエチルアルコールを配合したことを特徴とし、さらに、これにpH調整剤として有機酸及び有機酸塩類を配合することができる。以下、本発明を詳細に説明する。本発明の変色防止及び鮮度保持用調味液に使用するポリリジンは、例えば特公昭59−20359号広報に記載の製造法によって得ることができる。すなわち、ストレプトマイセス属に属するポリリジン生産菌であるストレプトマイセス・アルブラス・サブスピーシーズ・リジノポリメラスを倍地に培養し、得られた培養物からε−ポリジンを分離、採取する。リジンは、1分子中に2つのアミノ基を有するアミノ酸であり、 これから得られるポリリジンは一般に、α位のアミノ基とカルボキシル基とが縮合したα−ポリリジンとε−ポリリジンの2種類が存在するが、本発明では上述の製造法によって得られるε−ポリリジンを好ましく用いることができる。本発明にあっては、ポリリジンは遊離の形で用いることが出来るが、塩酸、硫酸、リン酸等の無機酸もしくは酢酸、プロピオン酸、フマル酸、リンゴ酸、クエン酸等の有機酸の塩の形で用いることができる。使用するエチルアルコールは、所定のアルコール含量を有すれば、タイプを問わないが、工業用95%変性アルコールはその入手に通産局の承認がいるため、市販のアルコール製剤を適用できる。また、使用するpH調整剤は、有機酸として,クエン酸、酢酸、リンゴ酸、乳酸、アジピン酸、アスコルビン酸、グルコン酸、フマル酸、酒石酸、グルコノデルタラクトン、または他のオキシカルボン酸ナトリウム塩の中から選んだ1種又は2種以上が使用できる。本発明の対象となる野菜類は、種類、形態ともに特に限定されるわけではなく、収穫直後の状態のものから、調理、詰合せ用にカットされたものでもよい。カットする際の形態は、線切、荒切、角切、スライス等何でもよい。本発明を実施するには、まず、ポリリジンを好ましくは0.01〜10重量%、エチルアルコールを6〜60重量%、好ましくはアルコール製剤(75w/w%アルコール)を8〜80重量%になるように配合した調整液を、さらに効果の安定化及び増強の目的のためには、前記配合に、pH調製剤として有機酸及び有機酸塩類を、好ましくは40重量%以下混合した変色防止及び鮮度保持用調味液を用意する。次いで、カットした野菜を洗浄後、変色防止及び鮮度保持用調味液の2〜5重量%を溶解した水溶液に約3〜5分間浸漬し、ザル上げ、水切りし、盛りつける。カット野菜加工場においては、脱水、袋詰工程が取られるが、同様な工程を経ても支障はない。カットしたトマトまたは、野菜類以外のイチゴ等の果実に処理する場合、トマト(カット後)及びイチゴは水処理をきらうことから、アルコール製剤(アルコール50〜75w/w%)で、3〜8倍に希釈したものを果実表面にスプレー処理する。
(作用)本発明に係る変色防止及び鮮度保持用調味液は、特開平4−13426号にて開示したものを、さらに鋭意研究した結果、ポリリジンとエチルアルコールの配合物が、野菜のカット面での変色を特に阻害し、加えて、食酢で起こりがちなしおれの問題も解決した。これは、食酢等の酸性剤により、経時的にしおれを誘発するが、ポリリジンが水溶液中でカチオン系の界面活性剤として働き、エチルアルコール自体の変色及びしおれ防止効果を増強させ、且つ保持力をアップしたためである。
(実施例)
【実施例1】
■調味液の組成ポリリジン 3%75%アルコール製剤 40%乳酸ナトリウム 15%クエン酸ナトリウム 2%水 40%■野菜の処理■の調味液40ミリリットルに水2リットルを加え、処理液を作った。この処理液中にカット、洗浄した300gのレタスを3〜5分浸漬し、ザル上げ、水切りした。比較のため、調味液を含まない水に3〜5分浸漬した対照区(1)と300ppm濃度の次塩素酸ナトリウム液に30分浸漬し、水洗いした対照区(2)をテストした。10℃にて保存し、1日毎の経時変化を観察した結果を表1に示す。なお、評価の基準は下記の通りとした。
−:変色なく正常±:やや変色をきたしている。
+:茶色に変色し、やや異臭を感じる。
++:褐色あるいは黒茶色に変色し、腐敗臭を感じる。
また、抗菌性確認のため、一般生菌数、大腸菌群の細菌検査を行った結果を表2、表3に示す。
【表1】

【表2】

【表3】

【実施例2】
■調味液の組成ポリリジン 2%75%アルコール製剤 50%酢酸ナトリウム 10%リンゴ酸ナトリウム 5%アスコルビン酸 1%水 32%■野菜の処理■の調味液1リットルに、 アリコール製剤(アルコール50〜75w/w%)4リットルを加え、処理液を作った。この処理液をカットしたトマトの表面にスプレーした。比較品については、カット後、無処理のトマトを対照区とした。10℃に保存し、1日毎の経時変化を観察した結果を表4に示す。なお、評価基準は実施例1と同様に行った。また、抗菌性確認のため、一般生菌数、大腸菌群の細菌検査を行った結果を表5、表6に示す。
【表4】

【表5】

【表6】

(発明の効果)本発明によれば以下の効果を奏する。
1)通常、野菜の処理剤として食酢、酢酸等を用いると、カット面の変色は抑えられるが、これらの酸性剤により、経時的にしおれを誘発する。この点、ポリリジンンを使用することで、ポリリジンが水溶液中でカチオン系の界面活性剤として働き、エチルアルコール自体の変色及びしおれ防止効果を増強させ、且つ保持力をアップさせる。
2)殺菌力のあるエチルアルコールとグラム陽性菌、グラム陰性菌、真菌など広い範囲の菌の増殖を抑制する効力をもつポリリジンの組み合せに、pH調整剤のもつ緩衝作用により、腐敗、変色の原因となる微生物、酵素類の至適状態が変化し、総合的な殺菌、静菌効果を持続させる。
3)処理作業が簡単で、塩素殺菌に見られるような長時間の浸漬は不必要で、数分間で処理が完結し作業工程が大幅に改善される。
4)ポリリジンは、天然物で安全性が高く(急性経口毒性;5g/kg以上)、他の資材も極めて安全性の高いものである。


 
 


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