(cache) 事業仕分け結果(27日) - 47NEWS(よんななニュース)
  47NEWS >  共同ニュース  > 記事詳細
  •  ニュース詳細     
  • 事業仕分け結果(27日) 

     行政刷新会議による27日の事業仕分け結果の詳報は次の通り。

     ▽財務省

     【独立行政法人国立印刷局、造幣局】日銀券の印刷を担う国立印刷局と、国が貨幣の鋳造を委託する造幣局。中央省庁改革を経て独立行政法人となったが、組織の在り方を見直すべきだとの声が相次いだ。枝野幸男衆院議員は「国がやって(組織を)スリム化することを考える。印刷局、造幣局の合併もあり得る」と指摘した。業務の効率化や不要資産の売却も求めた。

     【国税総合管理(KSK)システム】国税庁の徴税業務などを管理する基幹システムの関連予算で、要求額は68億円。システム運用業務をめぐる随意契約などに不透明な部分があると指摘された。契約料が高すぎるとの批判も出て、要求額を10%程度削減すべきだと判定された。

     【財務省電子申請システム】インターネットを通じてたばこ販売の許可申請などができるシステムで、すべての行政手続きを電子化する政府計画の一環で導入。2008年度の申請件数は61件と極めて低調で、会計検査院の指摘を踏まえ、財務省も廃止方針を固めていた。判定も「廃止」だが、仕分け人は廃止にかかる経費を精査するよう要請した。

     【公務員宿舎建設等に必要な経費など】国家公務員宿舎の建て替えについて、継続案件や緊急建て替えを除き、凍結するべきだと判定。継続案件でも、埼玉県朝霞市の宿舎などは事業を凍結するよう要請した。財務省は、民間住宅の借り上げに比べて宿舎の保有は安上がりだと主張したが、退けられた。

     【独立行政法人酒類総合研究所運営費交付金】国税庁所管の同研究所は、酒税の適正な確保を目的とした酒類の分析・鑑定や研究・開発が主な業務。民間委託の推進など業務の見直しが必要と判定されたが、要求額11億円の予算については判定では言及しなかった。

     ▽国土交通省

     【整備新幹線建設推進高度化等事業費補助】概算要求は27億円。新幹線と在来線を相互乗り入れできるフリーゲージトレイン(軌間可変電車)の研究開発や整備新幹線の未着工区間の調査に充てる。議論はフリーゲージ走行試験の経費に集中、コスト削減が必要との意見もあったが、多数決で要求通りと判定された。

     【観光を核とした地域の再生・活性化事業】概算要求は32億円。2泊3日以上の滞在型観光が可能な「観光圏」づくりに取り組む地方自治体などによる協議会を支援する。仕分け人は観光は大切としながらも、事業の効果は疑問などとして8割程度の削減となった。

     【訪日外国人3千万人プログラム第1期事業】日本を訪れる旅行者数を将来的に3千万人に増やすため、13年までの第1期は1500万人にするのが目標。概算要求は189億円で、海外でのプロモーション費用などに充てるとしたが、仕分け人はマーケティング不足などとして中身の見直しを求め、予算要求の半額の削減と判定した。

     ▽経済産業省

     【サービス産業生産性向上支援調査事業】中小・零細のサービス企業の経営効率化を支援する経産省所管の事業。概算要求額は14億円。仕分けでは「業務委託先の財団法人の活動への支援になってしまっている」と批判が続出。再委託の契約についても、単独応札など不透明な例があると指摘され、判定は「廃止」。

     【国際協力】発展途上国に進出している日系企業や現地企業を対象とした研修事業は、概算要求額が40億円。人件費や運営管理費の見直しなどで予算の3分の1程度を削減すべきだと判定した。経産省所管の他の2事業については、参加国に応分負担を求めることなどで予算を「2割削減」と判定した。

     【電源立地地域対策交付金】原子力発電所などの立地地域の自治体に対し、保育所や学校、病院の整備・運営などで地域振興を支援する制度。概算要求額は1149億円。「自治体にとって使い勝手が悪く、多くがハコモノ建設に使われている」との批判が出た。使途に関する自治体の裁量拡大や、交付金額算定の基準に含まれる火力発電の比率引き下げなどの「見直しをすべきだ」と判定された。

     【事業者向け省・新エネルギー導入促進のための補助】企業が太陽光発電など新エネルギーの設備を導入する際の補助金。概算要求額は388億円だが「半額にすべきだ」と判定された。省エネ設備導入時の補助金(要求額258億円)も「3分の1を削減」。新エネルギー普及策として補助金や税制優遇、再生可能エネルギーの全量買い取り制度の検討などがばらばらに実施されていることが問題視された。仕分け人は政策全体を抜本的に見直すよう求めた。

     【消費者向け省・新エネルギー導入促進のための補助】住宅用太陽光発電の導入補助金(同412億円)は予算計上を見送るべきだと判定した。自民党政権でできた制度であることも見送りの理由。内容を抜本的に見直し、必要があれば要求を再提出するよう求めた。現行制度は関係企業でつくる民間団体に事業を委託しており「業界のための補助になっている」との批判が出た。ヒートポンプ給湯器の導入補助金は「廃止」。燃料電池の補助金は3分の1程度の削減とした。

     【国家備蓄石油管理等委託費】有事の際に備えて石油の備蓄を行うための経費で要求額は480億円。仕分け人は「現在の備蓄日数は長すぎる」などとして「見直すべきだ」と判定。日本の備蓄日数は民間委託分も合わせて150日分だが、国際エネルギー機関(IEA)が義務付けているのは90日分。人口減や温暖化対策で石油消費が減ることも考慮すべきだという意見が出た。

     【産学連携による留学生向け実践的教育事業】日本企業への就職を希望する留学生に対し、企業ニーズに即した専門教育などを実施する内容だが、同様の事業は民間や他省庁でも行われているとして「廃止」と判定。要求額は25億円。仕分け人は、事業が経産省のOBが理事長をしている団体などに委託されていることも問題視した。

     【独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)、産業技術総合研究所の運営費交付金】要求額計1941億円に対し「見直し」と判定。仕分け人は、人件費や事務管理費が高いことを問題視。効率化のため両機関について組織統合を含めた検討をするよう求めた。NEDOには「天下りと、産業技術総合研究所への(研究費の)横流しの構造がある」との声も上がった。省エネ・リサイクル支援法債務保証基金については「見直し」とし、不要額全額の国庫への返納を要求した。

     ▽農林水産省

     【各種の施設・機械関係補助金(1)】農産物の集荷施設などを整備する際の経費を補助し、強い農業づくりを目指す交付金など計5事業(同計368億円)。仕分けでは「他の事業と重複している」と指摘、融資に切り替えるべきだとした。強い農業づくりなど3事業を「2分の1から3分の1程度削減」、2事業を「削減」と判定した。

     【各種の施設・機械関係補助金(2)】新規就農者に農業用機械や施設の整備費を補助し農業経営を支援する「経営体育成交付金」など計7事業(同計267億円)。同交付金など3事業は3分の1程度を削減。牧草などを生産する組織を育成する「国産粗飼料増産対策事業」など4事業は「事業のやり方を見直す必要がある」として、判定は「削減」。

     【各種の農業経営体育成等】農地データベース化や、農協や市町村などでつくる団体が農家に経営診断といった研修を行う際に補助する事業など計6事業(同計37億円)。うち3事業は「廃止」、1事業は「見直し」、残る二つの基金事業は「既に契約した分を除き国庫に返納」と判定した。

     【小規模農家に配慮した補助金】耕作放棄の防止に取り組む集落を支援する中山間地域等直接支払制度(同265億円)は事務費削減以外は予算要求通り。地域による農地や水路の保全活動を支援する農地・水・環境保全向上対策(同232億円)は「1割程度の予算要求の削減と事務費削減」と判定した。削減対象の事務費は両制度を合わせて計21億円。

     【漁業者向け生産コスト補てん型事業】漁船用の燃油価格や養殖用配合飼料価格の高騰の際に補てんを行う計22億円の新規事業は削減。システム開発費の中に、約1200ある全国の漁協すべてにパソコンを配るための費用が含まれていることが批判を集め、仕分けでは「制度設計を大幅にゼロから見直していただきたい」と注文がついた。

     【水産物の流通・加工】漁業者団体が漁業者から魚を買い取り、量販店に販売するという直接取引などを推進する「国産水産物安定供給推進事業」(同12億円)と、販路開拓や新商品開発を支援する「水産物産地販売力強化事業」(同12億円)を取り上げた。いずれも民間で担うべき分野で「国費で補助する必要はない」として半額程度の「削減」と判定した。

     【漁村振興関係】水産物の荷さばき施設建設などを補助する「強い水産業づくり交付金」と、離島の集落での清掃活動などを補助する「離島漁業再生支援交付金」の計90億円は、いずれも3分の1程度の削減。仕分け人からは「使われていない漁港施設も多く、効果の検証をしっかり行わないといつまでも補助金漬け体質から抜け出せない」といった指摘が出された。

      【共同通信】