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法人税:5%引き下げ 内部留保に課税も 政府検討、企業側をけん制

 菅直人首相が法人税率の5%引き下げを指示したのを受け、政府税制調査会は14日、企業の内部留保に対する課税の検討に着手した。政府は減税分を雇用や国内投資に回すよう経済界に求めているが、税調メンバーらは減税分が「内部留保に回るだけ」と懸念しており、そうならないよう企業側をけん制する狙いがある。16日に閣議決定する11年度税制改正大綱には盛り込まないものの、来年度に法人税減税の雇用・投資効果がみられなければ12年度からの導入を検討する構えだ。

 11年度予算編成で子ども手当増額などの財源確保に苦しむ中、法人税減税に対しては「企業優遇」との批判が政府・民主党内にもくすぶる。それでも5%下げに踏み切った菅首相は14日の閣議で「雇用、投資、若い人への給与を大事にしないといけない」と強調した。政府税調は内部留保への課税を検討することで、批判をかわすとともに、経済界に雇用・投資拡大の圧力をかけたい考えだ。

 現在も、中小企業に多い「特定同族会社」の内部留保に10~20%を課税する制度はある。ただ経営者が利益を留保金に回さず、配当に充てるように促すのが目的で、対象を上場企業全体に広げた場合、「雇用や投資ではなく、株主への配当金に回る」と疑問視する声も根強い。政府税調メンバーの一人は「法人税減税の結果、雇用に変化がなければ本当に(内部留保課税を)やる。そうした姿勢を見せることが大事だ」と話す。【小山由宇】

毎日新聞 2010年12月15日 東京朝刊

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