【ソウル西脇真一】韓国で15日、北朝鮮の攻撃を想定した防空訓練「民防衛」が全国一斉に実施された。1953年の朝鮮戦争休戦以来、北朝鮮が初めて民間人地域を砲撃した先の延坪島(ヨンピョンド)事件後、初めての訓練。走行中の高速鉄道KTXを一時徐行させるなど、政府は「『民防衛』が始まった75年以来最も規模の大きい訓練だ」としている。
民防衛はかつて毎月15日に行われていた。90年代には回数が減り、ソウルなど大都市では関心も薄れていった。「戦争の脅威が目に見えるようになった」(韓国消防防災庁)ことで、全国民に退避ルートの再確認などを求めることにした。
ソウル中心部の光化門では午後2時(日本時間同)に空襲警報のサイレンが鳴り、車両は強制的にストップ。気温氷点下7・8度の寒さの中、歩行者は地下道などの待避所で待つよう指示された。英語の資格試験会場へ急いでいた大学4年の女子学生(24)は「ここまで徹底した訓練は小学生のとき以来だ」と話していた。
毎日新聞 2010年12月16日 東京朝刊