| 7:30 |
起床
おきてすぐ朝食を食べ、時間をかけてたっぷりのコーヒーを飲む |
| 10:00 |
メールチェック・作業場の掃除
作業前にからなず掃除機をかける |
| 10:30 |
作業開始 |
| 13:30 |
お昼休憩 |
| 14:30 |
作業再開 夜はミシンの音が響くので、なるべく縫製作業は日中に行う |
| 19:00 |
夕食休憩 作業日の夕食は家族と食べることがほとんど。休日は友人との食事も |
| 21:00 |
作業再開 夜はラジオを聴きながら、刺繍やパソコン作業をしていることが多い |
| 24:00 |
作業終了 |
| 25:00 |
就寝 |

2010年9月に行われた合同展示会「rooms」
べイビーワンピース(ピンク) ¥26,000(税抜き)
いつも刺繍に使っている刺繍枠。自分で買っていないので、たぶん洋裁の得意な母が使用していたものなのでは。私の作品作りを支えてくれている大事なアイテム。
いつも持ち歩いているCROQUISのスケッチブックとデッサン用の鉛筆。思いついたことを書きたいので、少し大きいけれど持ち歩いています。本屋で情報収集をした後には、かまわず電車でデッサンを始めてしまうことも。
撮影の時、作った洋服や生地などを持ち歩く時にも大活躍の大きめKAPITAL(キャピタル)のバッグ。いつも持ち歩いているCROQUISのスケッチブックもしっかり収まります。
大学で行ったファッションショーがきっかけとなって
ブランドを立ち上げるチャンスが訪れた
「私にとって洋服作りは、アーティストが絵を書くような感覚。たまたま洋服作りが一番得意だったから、服を作ることで自分の世界観を表現しているんです」そう語ってくれたのは今回の憧れウーマン、『RED Profile』デザイナーの嶋山文香さん。
嶋山さんの作る洋服はまるで「絵本の中の少女」がそのまま抜け出てきたような雰囲気。全てハンドメイドで制作される彼女の洋服は、オリジナルプリントや刺繍が施され、常に個性的な表現に挑戦している。今回はそんな彼女が生み出す洋服の世界観に迫る。
嶋山さんがデザイナーとして働くきっかけになったのは、美術大学時代のゼミで行ったファッションショーだった。
「美大の3年次からファッションコースに進み、卒業時にファッションショーをやりました。そのショーを見たゼミの先生が私に紹介したいショップがあると現在、私の服を販売してくれているショップのディレクターさんを紹介してくれたのです。私の制作する服とそのショップで扱っている服のイメージが合っていたんですね。ディレクターさんからは『次の春夏から作ってみませんか?』とお話をもらったので、卒業後は本格的に洋服を作り始めました。それがブランドを立ち上げるきっかけになったのです」
2011年春夏で3シーズン目を迎える
ポートレートをテーマにしたブランド RED Profile
大学卒業後に設立したブランド、RED Profileは2011年春夏で3シーズン目を迎え、その制作は今年の夏に終了した。ファッション業界では、1年を2つのシーズン春夏と秋冬に分けて、新しいシーズンの商品を発表する。多くのブランドでは、制作はデザイナー、パンフレットなどの撮影や展示会準備はプレスが行うが、嶋山さんの場合はほとんどの工程を自らこなす。今回も生地や装飾品の買い付けから、9種類のデザイン、縫製、納品を1人で手がけ、撮影も大学時代から友人のカメラマンと行ったという。
RED Profile 2011の春夏コレクションは白やブルー、ピンクのワンピースばかりだ。それらはどれも優しい、ふんわりとした雰囲気に包まれていて、身に付ければ誰もが少女時代に戻れるように感じる。
「他のブランドでは『着心地がよい』、『ラインが綺麗』などを重要視することもありますが、私の場合はそういうところよりも『私の作ったワンピースを着た時に、その女性がどう見えるか』ということをいつも1番に考えています。1つしかないハンドメイドの洋服なので、このワンピースにしか描けない、女性のポートレートを表現していきたいと思っています」
嶋山さんが作るワンピースは、こだわりがたくさん詰まっている。2011年春夏で発表される「べイビーワンピース(ピンク)」¥26,000(税抜き)(※写真左)は2種類の薄いピンクの生地を使っている。1つはワンピース全体の生地として、もう1つは、胸元からフワッと女性らしい印象になるよう用いられているシフォン生地。さらに目を惹くのは、天使の羽を描かれている刺繍だ。その1針1針も手作業で行っているというから驚きだ。
手のかかる刺繍やオリジナルプリントが
私だけにしか作れない個性を表現する
嶋山さんは毎シーズン9種類のデザインを生み出し、ハンドメイドで仕上げていく。1着が完成するまでに数日間費やすこともあるそう。
「刺繍やオリジナルのプリントを施すときは特に時間がかかります。しかし、そういうポイントこそがブランドのオリジナリティを表現できる部分なので、あえてチャレンジしていきたい。ビジネスとして成功するには、コストや時間の効率化を考えなくてはいけないと思いますが、私はアーティストとして洋服作りをしている感覚なのです。アーティストが自分の世界観を表現するために絵を書くように、私は洋服作りで世界観を表現しています。だから効率化を考えて、デザインを変えたりはしません」
2010年秋冬からは合同展示会にも参加。大学卒業後、ファッション業界での仕事経験もないままブランドを立ち上げた嶋山さんにとって、展示会は情報交換をできる重要な場所になっているという。
「ブランドを立ち上げてずっと1人で洋服作りを続けていました。しかし、ただ1人で洋服を作っているだけでは世界が広がらない。もっと多くの人に見てもらえる活動をしたいきたいと思っていました。そんな時、展示会に参加しないかとお誘いを受けたんです。展示会では、バイヤー、各種メディアの方々と情報交換をしたり、同じような若いデザイナーさんと話ができたのでよかったですね。展示会で会ったデザイナーさんとは、今でも情報交換を兼ねて食事に出かけたりしますよ」
ブランド立ち上げから、1年半。ほとんどは洋服制作に没頭している嶋山さんだが、少し時間ができると、バックパッカーとして国内、海外を旅行する。アジアやヨーロッパはお気に入りで、とにかく街を歩きまわる。普段とは違った風景や街並み、現地の人の装いや空の色など、あらゆる要素から新しいインスピレーションが生まれてくるのだそう。
「『有名になって、もっとブランドを大きくしたい』というよりは、これからも今のペースで自分の作りたいものをずっと制作していきたいですね。その中で、私の世界観や洋服に対するこだわりを周囲に表現して、普通とはちょっと違った洋服を制作していければと思っています」