鹿児島地裁で開かれた高齢夫婦殺害事件の裁判員裁判で、無罪判決を言い渡された白浜政広被告(71)は10日午後、勾留されていた鹿児島拘置支所を出た後、鹿児島市で記者会見した。「おかげさまで無罪判決になりました。ぬれぎぬが晴れてうれしい」と感謝の言葉を口にした。
1時間半近くに及んだ判決言い渡しの間、あまり表情を変えなかった白浜被告。現在の気持ちを聞かれると、「この青空と同じすがすがしい気持ち」とほっとした表情を見せた。今後は「しばらくのんびりしたい」と話した。
捜査段階から一貫して否認してきた白浜被告は、「無罪を確信していたが、一抹の不安はあった」と話した。無罪を言い渡された瞬間は「やったと思った」と振り返った。一方、判決が遺留指紋などから、被告が事件現場の被害者宅に立ち入ったことがあると認定した点には、「ずっと『行ってない』『やってない』で通しているので、別に特別な感情は持たない」と改めて否定した。
裁判員に対しては「信頼できた。裁判員制度のおかげで、この無罪も早くいただけたのではないか」と評価した。
白浜被告の弁護団は、判決が県警の鑑識捜査の問題点を指摘した点に触れ、「いかにずさんな捜査がなされたかということは、法廷でかなり明らかになった」と強調。「今後の捜査のあり方を見直してほしいという裁判所の判断が裏側にあると思う」と分析した。
検察に対しては「裁判員制度の下で今までにない長期間の協議をして、正当に判断された結論。できれば控訴しないで」と注文を付けた。(2010/12/10-19:13)
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