検察、弁護側双方が全面対決した鹿児島市の高齢夫婦殺害事件で、裁判員らが悩み抜いた末に出した結論は無罪だった。判決の瞬間、白浜政広被告(71)は立ったまま微動だにしなかった。死刑か無罪か。究極の選択を迫られた裁判員6人は、その様子を表情を変えることなく見守った。
鹿児島地裁206号法廷。「交通事情」で裁判員の到着が遅れ、午前10時40分すぎに開廷。男性4人、女性2人の裁判員と白浜被告は、結審から約3週間ぶりに法廷で顔を合わせた。高まる緊張の中、平島正道裁判長は開廷を告げると、被告に証言台に立つよう促し、「白浜政広さんですね」と名前を確認した。
「被告人は無罪」。裁判長の言葉が静まり返った法廷に響く。被告は裁判長に向かって直立したままで表情はうかがえなかったが、満席の傍聴席はどよめきに包まれた。(2010/12/10-12:46)
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