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針路なき再出発:’10県議選のあと/上 逆風に沈む民主 /茨城

 ◇現職も落選「茨城ショック」 楽観戦略に県連批判も

 「私自身の緊張感が足りなかった」

 県議選ひたちなか市区(定数3)で、地元の日立労組の組織的支援を受けながら再選を果たせなかった民主の佐々木忠男氏(54)は12日夜、支援者を前に深々と頭を下げた。民主県連関係者の間では告示前から「ひたちなか市は、現職当選は間違いない」と楽観論が漂っていた。だが、菅政権批判が強まる中、党への逆風は予想以上だった。

 さらに追い打ちをかけたのは、環太平洋パートナーシップ協定(TPP)を巡り、県議会11月定例会の本会議でJA提出の「TPP交渉参加反対に関する請願」に反対した民主会派の対応だ。本会議に先立ち開かれた県議会農林水産委員会で、民主唯一の委員だった佐々木氏は委員会採決でも反対。「TPP賛成の候補は落とす」としていたJAの政治組織「農政連」から、最大の標的にされていた。TPPを巡っては、県議会採決前に都内であった農政連の陳情の場で、郡司彰県連会長も反対姿勢を示していたが、政府が推進方針のため県連として反対を貫けなかった。

 日立労組の組織内候補が県議選で落選するのは初めて。佐藤光雄県連幹事長は「現職が2人も落選するとは。茨城ショックの影響は計り知れない」と衝撃の大きさを語った。

 県議選で民主は、ひたちなか市に加え、那珂市でも現職が落選。新人は推薦を含めて19人中16人が敗北。結果として、衆院2、3、4区管内の候補は「全滅」に終わった。自民と一騎打ちになった4選挙区はすべて大差で敗北。候補2人を擁立した4選挙区でも、2人が当選したのは日立市区だけだった。

 「茨城ショック」。この言葉は各選挙区でも使われ、党本部批判だけでなく、読みが甘かった県連執行部にも矛先が向かっている。

 2候補が擁立された土浦市区(定数3)で再選を果たした青山大人氏(31)は12日夜、「もう一度、原点に戻らないと有権者の不信は払拭(ふっしょく)できない」と危機感を語った。同選挙区で、「医師の乱」を主導した県医師会の政治組織「県医師連盟」の組織内候補が大敗したが、選挙期間中は青山氏を支援する連合茨城と連盟が党支持層を奪い合う形で対立し、それぞれの組織でしこりが残る。

 民主県連は衆院選で大勝した直後の昨年10月、党勢拡大を目指し「全36区で候補擁立、複数区は複数擁立」の方針を掲げた。しかし、拡大戦略の転換を明確にしないまま、候補は20区、複数擁立は8区のうち4区となし崩し的に半減された。青山氏を支援した元衆院議員の二見伸明氏(75)は「菅政権が支持率が急落し風向きが変わった時点で、勝てる候補だけに絞り、戦略を転換すべきだった。県連の無能ぶりをさらけだした」と楽観的戦略を転換しなかった県連執行部を強く批判する。また、2候補擁立した土浦など4選挙区は医師連盟が擁立しており、県連がコントロールできなかったと見る向きもある。

 一方、民主推薦の15候補のうち3人しか当選させられなかった県医師連盟。小松満委員長は「民主大惨敗だ」と認め、来春の統一地方選に向けて「支援のあり方を見直す」と民主候補からさらに距離を置く可能性を示唆。党内支持組織の亀裂は深まりつつある。

 県連関係者は焦燥感を募らせた。「茨城ショックから党が立て直るのには4年以上かかる。統一地方選には間に合わない」

毎日新聞 2010年12月15日 地方版

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