2010年12月15日5時2分
「ここでクニマスを釣り上げ、びっくりしました」と話すさかなクン=8月、山梨県の西湖、中山写す
クニマスは田沢湖の固有種だが、かつて西湖に卵が送られたとの記録が残る。さかなクンと中坊教授は4月、一緒に出かけた。湖の中ほどで刺し網をあげると、最後に黒い魚が1匹あがった。「ひえーっ。クニマスだ!」とさかなクン。漁師は「前に釣りあげたことがあったが、ここでは『クロマス』って呼んでいる魚」と話した。(中山由美)
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〈クニマスと田沢湖〉 田沢湖は面積26平方キロメートル、最深423メートルの日本一深い湖。かつては沢水以外に流れ込む川はなく、透明度は極めて高かった。
田沢湖の北には玉川温泉があり、湧き出す強酸性の水が玉川に流れ込んでいた。玉川の水を中和して農業用水を確保し、同時にダムにして電力供給するため、1940年に玉川の酸性水を田沢湖に導入。すると、湖に生息していたクニマスをはじめ、スナヤツメやイワナ、サクラマス、アユ、ウグイは、1年足らずで姿を消した。89年から玉川の酸性水の処理が始まり、田沢湖の水の酸性度は下がって、放流したウグイが生息している。