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絵描こうと取り寄せたら絶滅魚…さかなクン「ひえーっ」(1/2ページ)

2010年12月15日5時2分

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写真:「ここでクニマスを釣り上げ、びっくりしました」と話すさかなクン=8月、山梨県の西湖、中山写す「ここでクニマスを釣り上げ、びっくりしました」と話すさかなクン=8月、山梨県の西湖、中山写す

 「絶滅」とされていた秋田県田沢湖のクニマスが、山梨県の西湖でみつかった。クニマスの絵を残したい――。そんな思いが、「奇跡」を引き寄せた。

 70年前に絶滅したと信じられていたクニマスの再発見の立役者は、さかなクン(東京海洋大客員准教授)だった。

 漁師と船に乗り、珍しい魚を見つけると、京都大総合博物館の中坊徹次教授に教えを請うていた。その中坊教授の部屋を訪ねたのは今年3月。「どう見てもクニマスじゃないかと思うんです」と保冷箱から2匹を取り出した。

 中坊教授の表情が一瞬にして変わった。「なんやこれは!」。20センチほどの黒ずんだ体がオリーブ色に輝いていた。

 長年、クニマスを研究してきた中坊教授は旧知の仲であるさかなクンに「クニマスを描いてほしい」と頼んでいた。現存する標本は約20匹。白か茶色に変色している。田沢湖周辺でも、生きていたクニマスの姿を記憶する人は今や数人。できるだけ正確に再現したかった。

 さかなクンはイラストレーターでもあり、ウロコやヒレの数までこだわり、正確に繊細なタッチで描くことでも知られる。日本魚類学会年会の要旨集の表紙も描いたことがある。京大にある標本を、前、後ろ、横、上、下の5方向から観察して詳細にスケッチした。だがホルマリン漬けでは、ひれやウロコがわかりにくい。「ヒメマスと比べたら」と中坊教授に言われ、知り合いの漁師に頼んで北海道の湖や富士五湖から送ってもらった。

 西湖から届いた保冷箱を開けると、二十数センチの魚が4匹。ヒメマスなのに、「なんで黒いんだろう」。傷んでいるのかと思ったが、新鮮だ。そこで、京大へ持って行った。

 中坊教授は仰天した。腹に卵を持つ個体もいる。ヒメマスの産卵は秋ごろで、体は銀色だ。「ヒメマスなら今の時期に産卵しない。これはクニマスだ!」

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