携帯電話向けゲームサイト「モバゲータウン」を運営する東証1部上場企業、ディー・エヌ・エー(DeNA)が、独禁法違反の疑いで公正取引委員会の立ち入り検査を受けた。ライバル会社にゲームを提供しないよう開発業者に強要していた疑いだが、業界では公取委の「真の狙い」は別のところにあるとみられている。なんなのか−。
公取委の立ち入り検査の一報が流れたのは今月8日の昼前。東京株式市場の午前の取引が終了した直後だった。
DeNA株の午前の終値は前日比65円高の2765円。ところが午後の取引が始まると、同社株は一転して売り浴びせられ、終値は162円安の2538円とジェットコースターさながらの推移となった。
関係者によると、DeNAは社外のゲーム開発業者がモバゲータウンにゲームソフトを提供するサービスを展開。今年夏から同じような仕組みを導入したライバルサイト「GREE」(グリーが運営)にゲームを提供しないように、開発業者に取引を制限していた疑いが持たれている。
ただ、公取委の「真の狙い」は別のところにあるというのが、業界のもっぱらの見方だ。
DeNAの2010年9月中間連結決算は、営業利益が前年同期比4・1倍の256億円、純利益が約4倍の141億円と、驚異的な伸びをみせた。無料ゲームなのに、どうやって業績を伸ばしているのか。
「利用料金は基本的に無料だが、ゲームのなかで使用するアイテムは有料で、その課金が収益の柱になっている。無料をうたう一方、利用者への高額請求も目立ち、社会問題化しつつある」(業界関係者)
CMでは無料だと言っているのに、高額の情報料や利用料を請求されたという相談が全国各地の消費者生活センターに多く寄せられている。あまりのトラブルの多さに、同センターは注意を喚起した。その相談事例がスゴい。
「小学生の息子が、2カ月で9万円のパケット料(通信料)を請求された」「5歳の子供が10万円もの高額アイテムを購入した」など。
通信料もさることながら、無料であるはずのゲームでなぜ、高額な利用料が発生するのか。
「ゲームが、有料のアイテムを買い足さなければ面白くないように設定されているためだ。無料だと思い込んでいる小中学生は次々とアイテムを買い足していくので、請求額がどんどん膨らんでいく」(業界関係者)
DeNAのソーシャルゲーム「アバター」は、人形の服や靴の着せ替えを楽しむゲーム。ゲームへの参加は無料だが、着せ替える服や靴は有料。おしゃれ度で得点が上がるシステムもあり、有料の服や靴などのアイテムをクリックしていったら6万円以上を請求されたケースもある。
未成年者の高額請求を受け、洪水のように流れるテレビCMに「一部有料のコンテンツがあります」と表示しているが、時間が短いため読み取りにくいのが実情だ。
また、ユーザー保護の取り組みが強化され、未成年者に課金の上限額を設定している。
「グリーは未成年者の課金上限額を月3万円に設定。DeNAは上限を月1万円に設定しているが、親名義で契約している携帯電話は対象外だ。最近では大人のモバゲーを打ち出し、ユーザーの対象を成人にシフトしている」(ゲーム業界担当アナリスト)
無料でユーザーを呼び込み、有料のアイテム購入で稼ぐというビジネスモデルが急成長の原動力となっているのである。しかし、ゲームのユーザーには小、中学生ら未成年者も多い。小、中学生に月何万円も使わせるようなゲームが果たして健全といえるのか。
公取委が立ち入り検査に入り、改めてそのビジネスモデルが問われることになりそうだ。