政治

文字サイズ変更

柳田法相:更迭 「国会軽視」で引責 補正成立を優先、後任は仙谷官房長官が兼務

会見で辞任を表明する柳田稔法相=法務省で2010年11月22日午前10時19分、手塚耕一郎撮影
会見で辞任を表明する柳田稔法相=法務省で2010年11月22日午前10時19分、手塚耕一郎撮影

 柳田稔法相(56)=参院広島選挙区=は22日午前、首相官邸で菅直人首相と約20分間会談し、国会軽視と受け取られる発言をした責任を取って辞表を提出した。10年度補正予算案審議への影響を避けるため、首相が事実上、更迭した。後任の法相は当面、仙谷由人官房長官が兼務することとし、政府は持ち回り閣議で決めた。首相の任命責任は免れず、内閣支持率が急落する菅政権にとって、大きな打撃となりそうだ。

 首相は午前8時に官邸に柳田氏を呼び「国民生活を考えると10年度補正予算案をなんとしても速やかに通さねばならない。そういうことができる環境を真剣に考えなければならない」と辞任を促した。柳田氏はその場で辞表を書いた。

 柳田氏はこの後、法務省で記者会見し「私の不用意な発言が影響して、補正の障害になってきたことを考え、『私から身を引かせていただきます』と辞意を首相に伝えた」と明かした。21日に「今後とも頑張りたい」と続投に意欲を示した直後の辞任については「一貫して任務を遂げたいという思いだったが、今朝、首相の話を聞き、その場で決めた」と説明した。

 また14日の地元・広島市での国会軽視発言について「(出席者が)20年前から知っている仲間だから、気を許しすぎたというのが率直なところだが、不用意な発言は私の非なので、心からおわびしないとならない」と改めて謝罪した。

 野党は柳田氏の辞任か罷免を求め、自民党は柳田氏の辞任がなければ22日午後に問責決議案を参院に提出することを予告。問責決議案は24日に野党の賛成多数で可決が確実な情勢だった。政府・民主党は補正予算案の成立を遅らせないためには辞任を受け入れざるを得ないと判断した。

 ◇仙谷、馬淵氏問責 野党対応ズレ

 野党は菅首相の任命責任を追及する構えで、補正予算案が与党の目指す24日に成立するかはなお不透明だ。自民党は中国漁船衝突事件の政府対応などを巡り仙谷氏や馬淵澄夫国土交通相への問責決議案も提出する方針で、補正予算案の採決前に提出するかどうかが今後の焦点となる。

 自民党の石原伸晃幹事長は22日午前、柳田氏の辞任について「当然だ」と記者団に語ったうえで、仙谷、馬淵両氏の問責決議案については補正採決前の提出に前向きな考えを表明。公明党の井上義久幹事長は「補正予算案は補正予算案として審議すべきだ」と慎重姿勢を示し、野党の足並みはそろっていない。

 菅内閣の閣僚辞任は6月、郵政改革関連法案の成立見送りに反発した亀井静香金融・郵政担当相(国民新党代表)に続き2人目。民主党政権では4人目だが、不祥事を理由とした辞任は初めて。【小山由宇、念佛明奈】

毎日新聞 2010年11月22日 東京夕刊

PR情報

政治 アーカイブ一覧

 
共同購入型クーポンサイト「毎ポン」

おすすめ情報

注目ブランド