2010年12月15日3時1分
西湖では以前から、ヒメマスに似て体色が黒っぽい魚がおり、「クロマス」と呼ばれていたが、地元では「黒いヒメマス」と考えられていた。
環境省のレッドリストによると、絶滅種に指定された日本の魚類はクニマス、ミナミトミヨ、スワモロコ、チョウザメの計4種。中坊教授は「西湖は水温が比較的低く、クニマスの生育に適していたのだろう」と話す。環境省は「絶滅種が再発見された例は植物や菌類などではあるが、魚では初めて」としている。
クニマスの標本は世界に約20点しかない。幻の魚として話題を集め、90年代には当時の田沢湖町観光協会が最高500万円の懸賞金をかけて捜したが、見つからなかった。(山本智之)
◇
〈レッドリストと絶滅種〉 環境省はレッドリストで、絶滅の恐れがある日本の動植物の一覧を示している。1991年からレッドデータブックを刊行する一方、最新情報を集計したレッドリストをネット上で公開。レッドリストには亜種を含む日本の絶滅種120種、絶滅危惧種3155種が掲載されている。野生生物の保全を進める上での基礎資料で、5年に1回程度、改定作業が行われている。