政府税調、法人税5%引き下げ見送る方向 来年度税制改正で

2010.11.30 05:00

 2011年度税制改正の焦点である法人税減税について、政府税制調査会は29日、経済産業省が要望していた5%の税率引き下げを見送る方向で調整に入った。引き下げ幅などは引き続き検討する。

 法人税減税は政府の新成長戦略に位置づけられ、菅直人首相の肝いりで進められてきたが、深刻な財政悪化を背景に、財源額に見合った減税幅に抑える方針だ。

 5%減税を要望する経産省は、代替財源として、特定業界を優遇する租税特別措置(租特)の縮小や、企業の設備取得費を非課税処理できる減価償却制度の見直しなどで5000億~6000億円を確保できるとした。

 これに対し、財務省は、5%の税率引き下げによって国税分で1兆4000億~2兆1000億円の税収減になると試算し、経産省の財源案では、2%超の引き下げが限界だ。

 このため、政府税調は、ナフサ(粗製ガソリン)免税の一部課税化や、研究開発減税の大幅縮小など企業優遇税制の見直しを提案した。だが、企業の国際競争力維持を主張する産業界がこれに猛反発し、民主党も「経済成長を阻害する」として反対の姿勢を打ち出したことで、財源確保が事実上難しくなった。

 「赤字国債を発行してでも5%減税を実現する」ことや、「消費税を含めた税制抜本改革まで判断を先送りにする」選択肢もあるが、財政赤字や菅政権に対する支持率低下の状況から現実的でない。

 今後、政府税調は、法人税率の引き下げ幅の圧縮に加え、5%減税の一部を3年程度の暫定措置にする案などについても検討する。

注目サイト