株式見通し:反発、米減税延長による消費拡大期待と円安で

2010年 12月 8日 08:37 JST
 

 [東京 8日 ロイター] きょうの東京株式市場で日経平均は反発する見通し。「ブッシュ減税」の延長やアイルランドが2011年予算に関する最初の財政決議案を可決したことが好感されている。米金利の上昇でドル高・円安が進んでおり、輸出株が買い戻されそうだという。

 菅直人首相が法人課税の実効税率を5%程度引き下げるよう指示したとの一部報道については、まだ不透明感があるとして影響は限定的との声があった。

 日経平均の予想レンジは1万0100円―1万0250円。

 オバマ米大統領は共和党に譲歩し、ブッシュ政権下で導入された減税措置を2年間延長する方針を表明。民主党指導部との会談後、中間層だけでなく富裕層を含め減税を延長することで共和党と暫定的に「枠組み」合意に達したと発表した。

 インフレや政府の債務負担への懸念が広がり、米国債利回りが上昇、ドル高とともに米株の重しとなったが、日本株にとって円安はプラス材料。「減税延長で米富裕層の消費拡大が期待できることもあり、円高懸念で売られていた輸出株が買い戻されそうだ」(大和証券キャピタルマーケッツ金融証券研究所・投資戦略部次長の西村由美氏)とみられている。

 アイルランド議会は7日、2011年予算に関する最初の財政決議案を可決したことも好感されている。ただ今後複数の決議案を採決し、予算案の最終的な採決は2月になる見通しとあって不透明感が払しょくされるまでには至っていない。

 米証券取引委員会(SEC)がウォールストリートにおけるインサイダー取引の調査に絡み10件以上の召喚状を送ったとの報道も、リスクマネーを縮小させる要因になると警戒されている。

 8日付日経新聞朝刊は、菅直人首相が7日、2011年度税制改正において法人課税の実効税率を5%程度引き下げる方向で調整するよう野田佳彦財務相らに指示したことがわかったと報じた。これに対し市場では「5%というのはこれまでにも出てきた数字であり目新しくはない。また支持率低下などで内閣の指導力にも疑問があるため、依然として不透明感があり、株価への影響は限定的」(大手証券情報担当者)との声があった。   続く...

 
 
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米長期金利の上昇をけん制する文言がFOMC声明文には盛り込まれなかったが、金利上昇が続くようなら、来年の早い段階で国債買い入れ増などの対応を検討すると予想する。