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仲井真弘多知事の2期目が10日、始まった。
沖縄の未来を描く構想力、山積する課題を解決する交渉力、政策を実現するための行政手腕を発揮できるかどうか問われる。
1期目に引き続き、米軍普天間飛行場の返還・移設問題は最大の課題だ。
政府は名護市辺野古に移設する方針を変えていない。「アメとムチ」を使い分けながら、県と地元を揺さぶってくるだろう。
日米合意の履行はもはや不可能だ。「県外移設」を公約に掲げ県民の再選支持を受けたことを忘れず、ぶれずに「県外移設」を政府に求めてほしい。
■夢持てる将来描こう
将来の沖縄を描く作業は待ったなしだ。2011年度末に期限が切れる国の沖縄振興計画を受け継ぐ新計画作り、沖縄振興特別措置法に続く新法の制定も2期目の課題だ。豊かな構想力で夢を持てる未来を描いてほしい。
過去38年間に総額9兆円に上る予算が、沖縄振興開発事業費として道路や建物などハード部門に投入された。だが自立経済を後押しする効果は限定的だった。
失業率は全国一高く、県民所得は全国平均の7割。政府が自ら沖振計の目標に掲げた「本土との格差是正」の達成には程遠い。
産業振興と経済の活性化に対して仲井真知事に期待が懸かる。
親の経済的理由で国民健康保険の保険料を滞納し無保険状態になっている子どもが数多くいる。学用品や修学旅行費が払えない小中学生は過去最多を更新した。認可保育園待機児童数は全国で3番目に多い。待機児童解消は急務だ。
離島の医療格差も深刻だ。公約に掲げたドクターヘリの導入や、医師確保のためのドクターバンク事業の実現を急ぎたい。
産業振興や雇用、教育、医療、社会福祉などのソフト分野はまだまだ不十分だ。にもかからわず振興事業費は右肩下がりで、1998年のピーク時の半分まで激減している。
県が指摘するように、日本全体を対象とする各種法律の適用や、全国一律の対策では不十分だ。沖縄の地域特性に対応した効果が期待できる独自の対策が必要だ。
独自策の実現を担保するには、予算の仕組みを変えなければならない。ひも付きでなく自由度の高い、沖縄独自の一括交付金の創設の可否も焦点だ。
一括交付金の総額は少なくとも過去10年間の沖縄振興予算の平均(約3千億円)以上での一括計上方式を検討したい。
菅直人首相は来週中に来県する方向で調整し、県が求める一括交付金を創設する意向とされる。問題は中身だ。かつて自由貿易地域や観光、金融、情報通信の沖縄「特区」制度は、官僚によって骨抜きにされ効果はほとんど見えない。一括交付金制度を、その二の舞いにしてはならない。交渉力が試されよう。
■リンクは許されない
菅首相は6日、県内移設推進と沖縄の経済振興を関連(リンク)付ける考えを初めて口にした。「アメとムチ」で県民の政治不信を高めた自民党政権と変わらない。
民主党は党の沖縄政策の基本となる公約の「沖縄ビジョン」を改定し普天間飛行場の「県外、国外移転」を削除する。外交・安全保障調査会の下にプロジェクトチーム(PT)を発足させ、経済振興策や基地負担軽減策の具体策を検討する。基地問題と経済振興のリンクをもくろんでいる。
基地問題と、経済振興は別ものである。振興策をちらつかせて基地の受け入れを迫る手法はあまりにも露骨などう喝で、許されるものではない。
衆院選、名護と宜野湾の両市長選、そして知事選を通じて県民は県内移設に反対、と意思表示した。知事はこの強力な民意を背景に政府交渉に当たってほしい。
駐留軍用地跡地利用推進法の制定も2期目の大きな課題だ。基地の存在は沖縄の経済自立を阻み続けてきた。
基地を撤去させた後、基地を提供してきた国の責任で跡地利用を進めなければならない。
当然、全ての基地跡地の整備が終了するまでの恒久法とし、跡地利用にかかる予算は国の費用で確保するのが筋だ。
就任あいさつで述べたように「未来を担う子や孫たちが夢と誇りを持てる沖縄」づくりを有言実行してほしい。
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