2010年12月14日15時0分
参議院の審議を小中学生が模擬体験できると人気の「特別体験プログラム」の予約を巡り、国会議員事務所の直接申し込みが、各学校の電話予約より優先される仕組みになっていることがわかった。一部の議員事務所はこれを活用して選挙区内の学校の申し込みを請け負っているが、一般には周知されておらず、「公平性を欠く」との指摘が出ている。
プログラムは小中学生が国会の模擬議場内で議長や委員長、大臣などの役割を演じ、法律ができるまでを学ぶ。今月2日には累計の参加者が50万人を突破した。スタートした2002年以降、参加校は毎年増え続け、学校行事が集中する秋から冬は特に予約が取りにくいという。
参院広報課によると、予約の受け付けは希望月の3カ月前の月初めに始まる。一般の申し込みは午前9時のスタートだが、国会議員を通じた予約の受け付けは同8時。確実に予約を取ろうとする議員秘書らが早朝6時ごろから同課を訪れて並び、職員も早朝出勤して対応する。
ところが、この優先予約には明文化された根拠がなく、周知もされていない。広報課によると、プログラムの予約方法は01年の議院運営委員会の理事会で決まったが、「実施前日まで先着順で受け付ける」と申し合わされただけ。国会見学の議員事務所による申し込み受け付けが午前8時からで、これにあわせてプログラムの受け付けもしてきたという。同課は「公平性を欠くという指摘もあるが、慣例が続いている」と話す。
朝日新聞が確認したところ、11月分の申し込みには9人の国会議員が計36校分を、12月分は7議員が計32校分を、来年1月分は6議員が49校分、同2月分は3議員が45校分を優先予約していた。優先予約は全体の2割程度を占めており、一般の学校が電話予約する時には、希望の時間がすでに埋まっている場合もあるという。