2010年12月14日
民主党のお家騒動
首相、岡田氏任せで涼しい顔
民主党は小沢一郎元代表のお蔭で天下が取れた。そのことはまぎれもない事実だ。鳩山由紀夫前首相や菅直人首相が総理大臣になったのも小沢氏の存在あればこそだ。今、閣僚として時めいている大臣たちも同じく小沢氏の余慶にあずかっている。
民主党をぐるりと見回せば、大半が小沢氏に大恩ある者たちばかりだ。その意味でも小沢氏の方に足を向けては寝られない。
ところがその小沢氏がお荷物になっている。
確かに小沢氏は「政治とカネ」の件で苦しい立場にある。さんざん曝し者にされた揚げ句、とうとう強制裁判に付せられることになった。
国会では証人喚問もしくは参考人招致の圧力を受けている。少なくとも政倫審に出て説明せよとの矢の催促だ。
党としても本人の自発的出席を望むだけで、一向に援護射撃の様子がない。もし出席しなければ党議でねじ伏せるとの見幕だ。それが13日の役員会のテーマだった。
気の毒なのは岡田克也幹事長だ。ひとりキリキリ舞いしている。
菅首相は岡田氏に丸投げして涼しい顔をしているばかりだし、小沢氏からはイヤな顔をされて、取りつく島もない。
本来なら、この問題ははじめから菅首相の仕事だ。それが岡田氏任せだ。今こそ出番なのに逃げている。弱腰とズルさの見本と言われる所以だ。
一方、小沢氏の方も強気一点張りだ。「やましいことは一切ない」を大義名分に「裁判で必ず勝つ」との信念にいささかの揺らぎも見せない。もし離党勧告が党議決定されようものなら、分裂も辞さない面魂だ。
そこで問題になるのはイザという場合に何人小沢氏に従うかだ。
公称では小沢グループは130人を数えるが、まずその半分か、いや30人前後との読みもある。一番辛辣なのは片手を出ないとの見方もないわけではない。これでは小沢氏の面子にかかわる。攻める方も守る側も我慢比べだ。
それにしても民主党は八方塞がりだ。外交では日米同盟をガタガタにし、中国や北朝鮮から足元を見られている。経済はデフレ・スパイラルから抜け出せない。支持率はガタ落ちとなり、それに加えてお家騒動だ。政権末期の断末魔と言わざるを得ない。
しかし正直なところ、鳴り物入りでスタートした菅政権がこんなに早く御臨終を迎えるとすれば意外中の意外だ。
(I)