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漫画の性描写 安易に規制に走らずに 12月11日(土)

 過度な性行為や近親相姦(そうかん)を描いた漫画やアニメを、青少年に販売しないよう規制する。東京都が開会中の都議会に出している都青少年健全育成条例改正案である。性情報があふれる現状を苦々しく思っている人は多いだろう。けれど、事は単純ではない。

 漫画家や出版社が改正に強く反対している。日本ペンクラブや日本弁護士連合会も声明を出した。「表現の自由」にかかわる重大な懸念をはらんでいるからだ。

 改正案をめぐっては、広く意見を聴く必要がある。安易な規制強化は慎むべきだ。

 都が最初に改正案を提出したのは3月議会だった。「表現の自由を侵害するおそれがある」と反対論が強まり、6月に否決された。

 再提出にあたり、都は内容を修正している。それでも懸念を拭いきれない。むしろあいまいさが増した印象がある。

 たとえば、改正案は規制の対象を「刑法に触れる性行為や近親者間の性行為を不当に賛美・誇張して描写したもの」とする。

 賛美や誇張が「不当」かどうか、明確に線を引くのは難しい。ストーリーの前後の流れや全体構成によっても解釈は分かれよう。恣意(しい)的な判断が入り込む余地がある、と言うよりも、個々の受け止めは異なって当然である。

 「児童ポルノの氾濫を見過ごせない」とする石原慎太郎知事の意欲は分かる。性的虐待を受けている児童の保護は急がねばならない。ただし、被害児童が実在しない漫画やアニメをこれと同列に論じるのは無理がある。過度な性描写への規制は、現行の条例で十分に対応できる。

 冊子の袋かけや販売コーナーを分けるなど業界の取り組みも進んでいる。こうした自主的な努力をさらに強めるべきではないか。

 自由な想像力と表現から豊かな作品が生みだされる。成人映画から出発して米アカデミー賞を取った映画監督もいる。若い才能が萎縮しないよう、公権力の介入は最小限とするのが望ましい。

 条例改正の影響は全国に及ぶ。東京には出版社が集中している。規制の強化は、情報発信のおおもとを縛ることになる。

 苦い教訓がある。「有害」かどうかのものさしを行政に委ねると拡大解釈される危険がある。「表現やコミュニケーションという民主主義社会の根本にかかわる配慮や規制は、自主的・自立的に行われるべきだ」。日本ペンクラブの声明は、表現活動が弾圧された戦前の歴史に学ぶものである。

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