「差別を知るきっかけになってほしい」。伊賀市在住の山中理恵さん(48)ら11人で作る絵本制作実行委員会がこのほど、絵本「ゆう子ちゃんと万華鏡」を完成させた。被差別部落で生まれ育った山中さんが幼少時の思い出を文章にまとめ、メンバーが絵を添えた。【写真=味岡教育長に絵本を寄贈する原作者の山中さん(左)と監修者の松岡さん(中央)】
物語は仲の良い小学生5人が、仲間の一人「ゆう子ちゃん」の突然の引越しや「ぶらく」という言葉に戸惑いながらも、ゆう子ちゃんとの再会を願う話。メンバーの一人、田槇奈緒さんが登場する子どもたちの元気な姿を、鮮やかな絵で彩っている。
また、巻末には30年から40年前の被差別部落の生活の様子を撮影した写真を収めた資料集も付けた。
山中さんは「このお話では結論は書かず、読者それぞれに投げ掛ける形にした。少しでもたくさんの人に読んでもらえれば」と話し、絵本を監修した松岡克己さんは「この絵本を通じて、もう一度部落差別を考えるきっかけになってもらえれば」と話している。
12月14日には、山中さんと松岡さんが伊賀市教委の味岡一典教育長を訪れ、完成した絵本を寄贈した。味岡教育長は「すばらしい本ができた。各小学校に絵本を紹介していきたい」と話した。