「飲食業は想像以上に薄利ビジネスなんです」と語るのは、外食コンサルタントの江間正和氏。
「飲食店の一般的な収益モデルは、30%が原価、30%が人件費、そのほかに家賃や光熱費や返済がそれぞれ10%。残った10%がお店の利益となるのです」
そんなシビアな業界にもかかわらず、繁華街を歩くと目に入ってくるのが、「全品270円均一」などとド派手な看板を掲げる激安均一料金居酒屋だ。価格競争にますます拍車がかかる居酒屋業界ではなぜこれほどの低価格が可能なのか? 徹底的な覆面調査を試みた。
今回訪れたのは、全品270円均一「金の蔵 Jr.」、300円均一「笑笑」、299円均一「えこひいき」、そして「価格競争に終止符を打つ」とワタミが今年8月から肝いりで始めた250円均一「和っしょい2」の4店だ。均一料金に若干の差はあるものの、驚くことにどこの居酒屋も生ビール中ジョッキはほぼ300mlだった!
「実は、生ビールの価格は1ml=1円が基本。つまり300円程度の均一料金なら、適正価格(笑)。逆に300円で提供しようと思ったら、ビールは300mlにせざるを得ない」とは、飲食コンサルタントの子安大輔氏。「ビールの内容量を減らすため、一見それとわからぬよう上げ底にしたり、ジョッキの厚みを増して量を減らす“工作”が過熱している」と、大手居酒屋チェーン店社員は明かす。また、「ビールや日本酒、ワインは原価率が高めですが、焼酎やサワー、カクテルなどの“割りもの”は原価率が低く、稼ぎ頭。最近はハイボールやホッピーがブームで、ウチらにとっては追い風です(笑)」と大手居酒屋チェーン店長は説明する。
さらに、上場企業を中心に企業分析等を行う本吉亮氏はこう語る。
「僕も均一居酒屋によく行くのですが、タッチパネルで注文するので人件費が圧倒的に削減できます。また、紙おしぼりが通常よりも小さいお店もありますよね。これもコスト削減の結果でしょう」【続きを読む】