夕張市の「ユーパロの湯」

「ユーパロの湯」の玄関に張られた閉鎖のお知らせ

　夕張市にある公設民営の日帰り温泉施設「ユーパロの湯」が１４日、突然の営業休止を発表した。管理する事業者とは連絡が付かない状態になっており、所有者の市は対応に苦慮している。

　「ユーパロの湯」は９６年に開業。当初は市の第三セクターが経営していたが、市の財政破綻後の０７年から指定管理者による委託方式に代わり、０８年１１月からは札幌市北区の住宅関連機材販売会社「菱和興産」（馬場武司社長）が管理運営に当たっていた。

　しかし１４日朝、施設の玄関に「事業閉鎖のお詫びとお知らせ」と題した紙が張られ、入館者がピーク時の半分以下となったことや、修理に多額の費用がかかっていることなど、撤退の理由が記されていた。市によると、事前の連絡は一切なく、菱和興産の関係者は電話にも出ない状態になっているという。

　この日は定休日で混乱はなかったが、１５日以降も再開の見通しは立たないため、市はメンテナンスや隣接の老健施設への給湯をどうするかなど、当面必要な対策作りを急いでいる。

　市によると、オープン２年目には年間２４万人の入館者があったが、０９年度は約７万３０００人、今年４～９月は約４万４０００人と、客足は落ち込んでいた。当初は２５人前後の従業員がいたが、今はほとんどいないという。【吉田競】