政府の行政刷新会議は17日の「事業仕分け第3弾」後半日程3日目の作業で、セミナー開催などを行う「男女ワークライフ支援事業」(厚生労働省)など3事業を「廃止」と判定し、ワークライフ事業の核となる就労支援施設「女性と仕事の未来館」の閉鎖を求めた。また、特定の自治体で規制緩和や財政支援を一括して実施する「総合特区」構想の「推進調整費」(内閣府)や農林水産省の4事業など計7事業を「予算計上見送り」とした。
ワークライフ事業は、財団法人女性労働協会の運営する未来館を拠点に啓発事業を展開する。今春の仕分けで廃止判定された「女性と仕事総合支援事業」に男性向け行事も加え、衣替えした。厚労省側は「ゼロベースで見直した」「未来館は女性支援のシンボル」と訴えたが、仕分け人側は「存在意義が不明確。ハコモノ型の啓蒙(けいもう)事業は過去のもの」と切り捨てた。
「総合特区」は、政府の新成長戦略の目玉事業だが、仕分け人から「予算要求の積算根拠が不明」などの批判が集中。内閣府側は「特区指定はこれからなので、予算積み上げはできない」「菅直人首相が『政府一丸となって取り組む』と指示している」と反論したものの、枝野幸男民主党幹事長代理は「この説明では予算計上は認められない」と結論付けた。
防衛省の自衛官募集経費では、募集担当者が約2500人にのぼることなどが問題視された。防衛省側は「何も働きかけずに志願する人は3割程度」と意義を強調したが、訪問件数や採用人数を具体的に説明できず、「見直し」判定に。幹部自衛官を養成する防衛大学校の仕分けでは、授業料免除や手当受給の恩恵を受けながら、自衛官にならない卒業生に対し「経費返還を求めるべきだ」との声が続出。返還義務付けのほか、受験料徴収を検討するなどの見直しを求めた。【青木純】
毎日新聞 2010年11月18日 東京朝刊