西日本新聞

柳田法相発言 緩んだ「たが」を締め直せ

2010年11月19日 10:47 カテゴリー:コラム > 社説

 閣僚の重責を担う政治家として危機感も緊張感も欠如している。そう批判されても仕方あるまい。菅直人首相は政権全体にも通じる深刻な問題と受け止め、緩んだ「たが」を締め直すべきである。

 柳田稔法相が、国会答弁を軽視するような発言をしていたことが明らかになった。地元で開いた国政報告会で「個別の事案はお答えを差し控える」「法と証拠に基づいて適切にやっている」という決まり文句を挙げ、「法相は二つを覚えておけばいい。分からなかったら、これを言う」などと述べたという。

 あぜんとさせられる法相発言である。菅首相や仙谷由人官房長官から厳重注意を受けた法相は「身内の会合だったので、深く考えずに軽口をたたいてしまった」と釈明したが、軽率のそしりは免れない。参院予算委員会で法相は問題発言と認めて謝罪したが、後の祭りである。

 不用意な発言は法相の進退問題にまで発展してきた。自民党など野党は「国会軽視も甚だしい」「法相の資質に欠ける」などと猛反発しており、法相の罷免を首相に求めている。

 首相は厳重注意でけりをつけるつもりのようだが、自民党は法相の罷免や辞任要求が受け入れられなければ、野党が過半数を占める参院で法相の問責決議案を提出する構えである。公明党など他の野党も同調する方向だ。

 可決されれば内閣総辞職か衆院解散・総選挙かを決断しなければならない衆院の内閣不信任決議案とは違って、参院の首相や閣僚に対する問責決議案には法的な拘束力がない。

 しかし、政治的な打撃は大きい。閣僚が問責決議を受ければ、参院審議は止まり、政権運営はたちまち行き詰まる事態も想定されるからだ。

 そんな危機感が首相を筆頭に政府と与党の政権全体で共有されているのか。問いただしたいのは、この点である。

 補正予算案は何とか衆院を通過したが、尖閣諸島沖での中国漁船衝突事件やビデオ映像の流出問題などをめぐり、野党は仙谷官房長官と馬淵澄夫国土交通相の不信任決議案を突きつけた。

 与党が圧倒的多数の衆院では数の力で否決できたが、参院で野党共闘が成立すれば、そうはいかない。

 仙谷官房長官は、きのうの参院予算委で自衛隊を「暴力装置」と呼び、野党が批判すると、謝罪して撤回した。首相も不適切な発言と認め、陳謝した。

 蓮舫行政刷新担当相は、国会内で雑誌の写真撮影に応じた問題で事実誤認があったとして謝り、前言を取り消した。

 一向に展望が開けないねじれ国会、けじめをつけられない「政治とカネ」、立て直しが急務の外交・安全保障、急落する内閣支持率が象徴する民意の離反…。

 それでなくても難問山積の窮状なのに、政権中枢の閣僚が問題発言と前言撤回の連発で政権の足を引っ張っている。

 まさに由々しき事態と言うほかない。


=2010/11/19付 西日本新聞朝刊=

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