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【主張】中国漁業監視船 領海侵犯許さぬ法整備を
中国の漁業監視船が20日から21日にかけ、また沖縄・尖閣諸島沖に現れ接続水域(領海の外側約22キロ)を航行した。
中国漁船衝突以降、接続水域内に現れたのは今回で4回目で、日本の領海ぎりぎりまで近寄るなどの示威行動を取った。しかも、監視船2隻のうち1隻は最新鋭のヘリ搭載型で、通常の海上保安庁の巡視船より大きく、2580トンだ。
日本固有の領土である尖閣諸島を、中国は1992年の領海法で自国領土と明記しており、今回の行動は、力ずくで奪取するための布石を着々と打っているものとみるのが自然だろう。
これを裏付けるのが中国船の対応だ。巡視船が無線などで領海内に侵入しないよう警告したが、漁業監視船は「われわれは正当な任務に当たっている」と応答したという。だが、周辺には中国漁船は見当たらず、漁船保護などの任務が必要だったとは考えられない。尖閣諸島周辺の海域を「中国の海」とみている証左でもある。
中国船の行動はさらにエスカレートしよう。問題は、漁業監視船が領海内に侵入し、退去命令を無視して居座った場合である。
国連海洋法条約により、いずれの国も自国の領海で無害でない通航を防止する措置を取ることが認められているが、日本は国内法を制定せず放置してきた。こうした不備が相手につけ込まれ、主権を危うくしているのである。
そもそも、領海事犯を取り締まるのに、漁業法(立ち入り検査忌避)や入管難民法(不法入国)の違反容疑で対処せざるを得ないところにも問題の根源がある。
仙谷由人官房長官は、領域警備をめぐる法律面の不備をみとめたが、海保に対して、領海警備の任務と主権侵害を許さぬ権限を与えることが喫緊の課題である。
自民党も自衛隊に対する領域警備法の制定を検討しているが、まず不審船などに一義的に対処する海保による海の守りを万全にするよう協力すべきだ。
中国を増長させた責任の一端は菅直人政権にある。首相は13日の日中首脳会談後の記者会見で、「(日中関係を)首相就任時の6月に戻すことができた」と語ったが、いかに危機感に乏しいかを物語っている。だからこそ、日本の国土を守るための党派を超えた連携が必要であり、そのことが抑止の力になるのである。