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米韓、空母交え演習へ 28日から黄海 北朝鮮砲撃受け

2010年11月25日3時1分

写真韓国・大延坪島で24日、北朝鮮軍の砲撃によって被害を受けた海兵隊の官舎の前で報道陣を制止する韓国軍の兵士=ロイター

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 【ワシントン=伊藤宏、ソウル=牧野愛博】北朝鮮軍が砲撃した韓国領の大延坪島(テヨンピョンド)で24日午後、民間人男性2人の遺体が見つかった。韓国海洋警察庁は砲撃による死亡とみている。北朝鮮軍の砲撃による韓国の民間人の死亡は、1953年の朝鮮戦争休戦以来初めてで、韓国世論の悪化は避けられない情勢だ。米韓両国は28日から黄海で米原子力空母も参加する合同軍事演習を実施し、北朝鮮を牽制(けんせい)する構えで、緊張が高まる可能性がある。

 韓国海洋警察庁などによると、死亡したのは島外から来ていた男性作業員で、61歳と60歳の2人。海兵隊の新しい官舎の建築工事に従事していた。仁川市は24日、民間人の被害者は死者2人、負傷者1人の計3人と発表。砲撃では韓国軍兵士も2人が死亡、16人が負傷しており、犠牲者は計4人、負傷者は計17人なった。

 同日夕現在、大延坪島と、隣接する小延坪島の住民計1700人のうち約760人が現地に残り、11カ所ある防空壕(ごう)などで退避生活を続けている。

 砲撃事件を受け、米韓両国は28日から来月1日まで、米原子力空母ジョージ・ワシントンも参加した合同軍事演習を朝鮮半島西側の黄海で実施することを決定。同空母は横須賀を出て、現地に向かっているとみられる。

 オバマ米大統領が李明博(イ・ミョンバク)大統領との電話会談で、韓国の防衛に最大限の努力をする考えを表明し、中国が強く反発していた黄海への米空母派遣を決めたことで、今後、東アジアの安全保障を巡って日米韓と中朝が対立する構図がより強まりそうだ。

 一方、韓国政府は24日、国連安全保障理事会の協議はメンバー国に任せ、自らは公式に協議を要請しない方針を固めた。李大統領は同日、現在の国連安保理議長国である英国のキャメロン首相とも電話会談し、「断固として対応する」としたが、自らは安保理での協議は求めなかった。

 これに対し、キャメロン首相は中国の役割の重要性を指摘するとともに、「北朝鮮の行動は国際社会から指弾されなければならない」とし、安保理で扱う考えを示唆した。

 韓国政府関係者によると、同政府は北朝鮮の攻撃とされる3月の哨戒艦沈没事件で安保理での協議を要請したが、中ロが慎重な姿勢を見せるなどして制裁決議を得られなかった例を反省。自ら提起しても「得る利益は少ない」(別の関係者)として、扱いを英国など安保理メンバーに任せる方針を固めたという。

 また、韓国の金泰栄(キム・テヨン)国防相は24日の国会国防委員会で、砲撃戦には北朝鮮の金英哲(キム・ヨンチョル)人民武力部偵察総局長や、現場海域を担当する第4軍団長を務める金格植(キム・ギョクシク)前総参謀長が関与しているとの見方を示した。韓国政府は2人が哨戒艦沈没事件にも関与したとみている。

 北朝鮮関係筋によれば、金総局長は、かつて金正日(キム・ジョンイル)総書記の三男、金正恩(キム・ジョンウン)氏の個人教授を務め、現在も正恩氏に近い関係という。

 一方、朝鮮中央通信によれば、北朝鮮外務省報道官は24日、砲撃を「断固たる自衛措置」と位置づけ、「我が軍の砲門はまだ開かれている」とする談話を発表し、今後も攻撃する可能性を示唆。朝鮮赤十字会も同日、南北赤十字協議を無期限延期とした韓国側の対応について「これ以上、人道問題の解決に未練はない。北南関係は計り知れない破局に陥る」と反発した。

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