柳田法相が辞任に追い込まれたことで、菅・仙谷内閣の命運は風前の灯火のようだ。それでなくとも2010年11月初旬に時事通信社が実施した世論調査で、菅内閣の支持率は10月に比べて11・4ポイント低い27・2%に急落した。もはや危険水域である。
毎日は、公明党の出方によっては菅総理はパニくって1月解散にでるかもしれないと読み、方や小沢一郎は、政党助成金を軍資金にして「分党」する構えで、菅政権の破れかぶれ解散への備えを始めたと書いている。
仙谷官房長官の「自衛隊は暴力装置」発言にもドキッとさせられたが、新潮によれば、この言葉はドイツの社会学者マックス・ウェーバーが学術的に使った言葉で、言葉自体は問題ないという。しかし、ロシアの革命家レーニンが暴力革命の理論づけにこの言葉を使い、「左翼全体主義者にとって『暴力装置』たる軍隊は、国外への侵略、もっと重要なのが、国内統治のために使われます。即ち『国内の反対者を排除するための暴力装置たる軍隊』というのが、共通の力学、軍隊観です」(遠藤浩一・拓殖大学大学院教授)。われわれ70年安保世代にとっては、なんとも懐かしい言葉だが、仙谷さんて根っからのサヨクなんだから、「赤い官房長官」の神髄を見せて、「インターナショナル」でも唄いながら「国会を革命の拠点にする」ぐらいのことをいったらどうか。極々一部の熱烈な支持は得られると思うがね。
このところ大特集主義で、月刊誌のようになってきた現代が、2週続けて「日本頑張れ」特集を組んでいる。
先週は「知っておきたい日本のこれから」で、生活水準はアメリカより上、政治はダメだが民間の力は世界ナンバーワン、首相が次々交代しても日本のブランド力は揺るがない、中国とは民度が違う、こんなに住みやすい国はないと、自信を失っている日本人に「元気を出そうぜ」と檄を飛ばしている。
今週も「本当は強いニッポン」の冒頭で、アメリカのテレビ局CNNが11月13日から1週間ぶち抜きで日本特集を組んだことを紹介している。
CNNの東京支局スタッフが企画意図をこう説明している。
「日本の人々は元気を失っているようですが、外から見れば、まだまだ日本は伸びる可能性があるし、そのための工夫もあらゆる分野で行われている」
特集の中で、中国との「民力」比較を表にしているが、確かに、国民1人当たりの所得は、日本3万9632ドルで中国は3213ドル。GDPも日本が3万9740ドルに対して中国は3735ドル。人口100人あたりの自動車の保有台数も、日本が59.1台、中国は3.8台と圧勝している。
レアアースも「日本の近海には海底400~600mくらいのところに、レアメタルやレアアースなどの資源が多い。(中略)日本は島国であることを卑下してきましたが、島国だからこそ、海洋エネルギーの宝庫に囲まれているのです」(山田吉彦・東海大学教授)
日本が資源輸出国になる可能性も高いとしている。
また農業分野でも未来は明るいという。「品種改良技術に長けた日本人が本気で研究すれば、アジアのマーケットで、日本のコメはいまの自動車を抜く売上げになる」(岩永勝・作物研究所所長)
(続く)
元木昌彦プロフィール
1945年11月24日生まれ/1990年11月「FRIDAY」編集長/1992年11月から97年まで「週刊現代」編集長/1999年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長/2007年2月から2008年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」で、編集長、代表取締役社長を務める
現在(2008年10月)、「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催。編集プロデュース。
【著書】
編著「編集者の学校」(講談社)/「週刊誌編集長」(展望社)/「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社)/「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス)/「競馬必勝放浪記」(祥伝社新書)ほか
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