5兆900億円の経済対策を盛り込んだ10年度補正予算案が26日夜、成立する。自民党は補正予算案などの採決後、仙谷由人官房長官と馬淵澄夫国土交通相の問責決議案を参院に提出し、同日中にも野党の賛成多数で可決される見通し。政府・与党は仙谷氏らを続投させる方針だが、自民党は問責可決後の審議を全面的に拒否する構えで、12月3日の会期末に向け、与野党の対立が山場を迎える。
採決に先立ち、参院予算委員会は26日午前に集中審議を開いた。自民党の世耕弘成氏は「問責が可決すれば審議に応じられない」として、仙谷、馬淵両氏の更迭と会期延長を要求。菅直人首相は「審議するために会期延長しろと言いながら、問責後は質疑に応じないと言うのは全く矛盾している」と反論した。
公明党の加藤修一氏も、自衛隊を「暴力装置」と発言した仙谷氏の辞任を求めたが、首相は「(仙谷氏は)不適切な表現について謝罪し訂正した。このことで更迭は全く考えていない」と拒否した。加藤氏が今国会中の党首討論の開催を求めたのに対し、首相は「必要ならば応じたい」と述べた。
仙谷氏は26日午前の閣議後会見で、参院本会議で自身への問責決議案が可決される見通しとなったことについて「個人的には淡々としている」と表明。問責可決後の自らの進退については「国会情勢(次第)で、(民主)党幹部、首相がお決めになるだろう」と述べるにとどめた。
参院予算委は26日午後から補正予算案の締めくくり質疑を行った上で採決し、野党の反対多数で否決する。補正予算案はその後に開かれる参院本会議でも否決。衆院では与党などの賛成多数で可決されているため、衆参で議決が異なる場合に開く両院協議会を経て、憲法に規定された衆院の優越により、26日夜に成立する。
地方交付税法改正案や国家公務員の給与を人事院勧告通り引き下げる給与法改正案、司法修習生への国による給費制を1年延長する裁判所法改正案なども成立する見込み。【野原大輔、吉永康朗】
毎日新聞 2010年11月26日 東京夕刊