11月の朝雲ニュース

11/25日付

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北朝鮮、韓国領を砲撃 
延坪島(仁川北西)に数十発着弾 22人死傷

 北朝鮮軍は11月23日午後2時半過ぎ、韓国北西部の黄海にある延坪島とその近海に、海岸砲で数十発の砲撃を行った。砲撃は断続的に続き、韓国軍も応戦した。この砲撃により韓国軍兵士2人と民間人2人が死亡、18人が重軽傷を負った。米国をはじめ世界各国は相次ぎ北朝鮮非難の声明を発表。日本政府も同日、「砲撃事件は許し難いものであり、北朝鮮を強く非難する」とした政府見解と韓国支持の立場を表明した。菅首相は同日夜、関係閣僚会議を開き、情報収集に全力を挙げ、不測の事態に備え万全の態勢をとるよう指示。これを受け北沢防衛相は陸海空自衛隊に対し情報収集態勢の強化を指示した。24日の記者会見で北沢防衛相は「北朝鮮の軍事動向に重大な関心を持って情報の収集分析に努め、わが国の平和と安全の確保に遺漏なきよう期してまいりたい」と述べた。

政府「許し難い」と北を非難 3自、動向分析に全力

 政府は23日午後8時45分から緊急の関係閣僚会議を開き、菅首相は、@北朝鮮の動向の情報収集に努めるA韓国、米国と緊密に連携し対応B不測の事態に備え、国民の安全・安心の確保に万全を期すため陸海空自衛隊の情報収集体制を強化――の3点を指示した。
 これを受け防衛省・自衛隊は、韓国や米国などからの情報を首相官邸に一元化する体制を整えるとともに、北朝鮮の軍事動向の分析に全力を挙げている。
 24日の会見で北沢防衛相は、「北朝鮮による砲撃事件は許し難いものであり、韓国のみならず、わが国を含む北東アジア全体の平和と安全を損なうもの」と北朝鮮を強く非難した。
 今回、北朝鮮軍が砲撃した延坪島は仁川市の北西約120キロの黄海にあり、北方限界線(NLL)まで3キロ、北朝鮮沿岸まで約10キロに位置する。同島には韓国軍兵士や家族、地元住民ら約1700人が所在している。
 仙石官房長官が韓国合同参謀本部の説明として会見で明らかにしたところによると、北朝鮮軍は23日午後2時34分ごろ、延坪島近海と内陸部に海岸砲で数十発を砲撃。これに対し韓国軍は交戦規則に従い80発の対応射撃を行った。同島住民は防空壕や、一部は船で避難したが、韓国軍兵士17人が負傷、うち2人が死亡し、民間人も2人が死亡、3人が負傷した。
 韓国側は北朝鮮に対し挑発行為を即刻中止するよう軍事会談代表者名で通知。北朝鮮側は朝鮮人民軍最高司令部名で「北朝鮮側領海を侵犯すれば、躊躇せず無慈悲な軍事的打撃を加える」との主張を朝鮮中央通信で流した。