香芝市の自宅で河合町教委職員、芳倉政輝さん(当時52歳)を殺害したとして殺人罪に問われた妻美鈴被告(52)の裁判員裁判の判決が13日、奈良地裁であった。橋本一裁判長は「(夫の酒癖の)問題の解決に向けて真摯(しんし)な努力をしなかった。結果は取り返しのつかない重大なものだ」として、懲役6年(求刑・懲役7年)の実刑を言い渡した。【岡奈津希、大久保昂】
殺害の同意の有無が争点となり、弁護側は「夫は承諾した」として、同意殺人罪の適用と執行猶予付きの判決を求めた。橋本裁判長は家庭内暴力があったと認めたが、「政輝さんが殺害されることを本気で承諾したことはない」と判断した。
判決によると、美鈴被告は5月17日午前0時ごろ、同市平野の自宅で政輝さんの首をタオルで絞めて殺害した。美鈴被告は政輝さんの常軌を逸した酒癖の悪さに苦しめられ続けてきたが、「親族や関係機関の協力を得ることが不可能ではなかった」とした。
裁判員の奈良市の会社員、飯田浩一さん(28)は判決後に会見し、「法律を基に考え、情を挟まない判決になった。本当に同意があったかどうかは本人しか分からないので判断がとても難しかった」と話した。
奈良地検の徳久正次席検事は「裁判員の皆さんの理解が得られたものと考えている」とのコメントを発表した。
毎日新聞 2010年12月14日 地方版