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夫殺害被告に実刑〜裁判員法廷@奈良〜

2010年12月14日

 ▼地裁判決

 ○裁判員「判断難しかった」

 河合町職員の芳倉政輝(まさてる)さん(当時52)が自宅で殺害された事件で、殺人罪に問われた妻の美鈴被告(52)に対する裁判員裁判の判決が13日、奈良地裁であった。橋本一裁判長は「被害者は殺害を本気で承諾したことはないし、被告もそれを分かっていた」として、弁護側の承諾殺人罪の主張を退け、懲役6年(求刑懲役7年)を言い渡した。被告側は控訴を検討する。

 判決によると、美鈴被告は5月17日午前0時ごろ、香芝市の自宅で、政輝さんの首をタオルで絞め窒息死させた。

 公判で弁護側は、殺害には政輝さんの同意があり、承諾殺人罪が成立するとして、執行猶予付きの判決を主張していた。

 しかし、判決は、事件直前まで泥酔して悪態をついていたという政輝さんが、被告の殺害の申し出を直ちに承諾したという被告の供述は不自然と判断。被告は本気の承諾がないことを分かった上で殺害したと認め、殺人罪が成立するとした。橋本裁判長は「何で殺す前に1回でいいから思いとどまらなかったのか」と説諭した。

 被告側弁護人の小城達弁護士は「全く納得できない。実際のDVの悲惨さを裁判員に理解してもらえなかった」と話した。奈良地検の徳久正・次席検事は「争点について主張・立証に工夫を努めた結果、裁判員の理解を得られたと考えている」とコメントした。

 判決後の会見には、裁判員を務めた奈良市の会社員飯田浩一さん(28)1人が応じた。飯田さんは争点となった殺害の同意の有無について、「被告本人しか分からないこともあるし、情を挟まないで判断するのは難しかった」と心情を明かした。

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