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倒閣狙う自民党のセンスの悪さ

【政治・経済】

2010年12月7日 掲載

再び中国人船長の問題で攻め込むらしいが…

●仙谷の大罪は別にある
「これは行けるゾ!」
 自民党内でこんな声が上がっている。毎日新聞が報じた「中国人船長の釈放は仙谷長官の政治判断」という記事だ。
 仙谷官房長官を参院で問責したものの、いま一歩追い詰めきれない自民党。それは仙谷の決定的暴言や失政を見つけられないからだ。「弱腰外交」を非難しているが、それは自民党政権時代だって同じ。「暴力装置」と自衛隊を呼んだことを暴言としているが、これだってマックス・ウェーバーも使っている政治用語だし、すぐに仙谷に陳謝されたから攻めにくい。おまけに自民党の大先輩である野中広務元官房長官が「問責は次の国会に引き継ぐものではない。仙谷さんは辞める必要はない」などと、“お友達”の仙谷をかばう発言をしたものだから、谷垣自民党は非常にやりにくい。
 このまま仙谷と菅が居直り、問責無視を決め込んだ場合、それでも来年1月の通常国会を冒頭からボイコットできるかどうかは「世論次第で半々。何か目新しい材料が欲しい」(自民党関係者)状態だった。そんなところに、毎日新聞の報道だから、意を強くしたのだ。
「まだタネ明かしはできないが、この問題をネチネチ攻めるのは間違いない。中国人船長の釈放は那覇地検の判断というのが仙谷の言い分だが、いろんな人を国会に呼べば、仙谷主導だったことを浮き彫りにできる。仙谷のウソを強調できる。そうすれば参院もボイコットしやすくなる。正月で問責が風化しても、再点火できますよ」(前出の自民党関係者)
 だが、毎日の記事であらためて注目すべき点は別にあった。当時の前原国交大臣が先のことも考えずに「ただちに逮捕」とヒステリックに官邸に報告し、菅首相がそれに従ったこと。そして中国からの仕返しや、米国の忠告に慌てた前原や菅が態度を豹変させたことである。自民党はそこも攻めないと意味がない。
 さらに言えば、仙谷の大罪は、中国人船長を釈放したか否かといった瑣末なことではない。
「小沢排除」の“個略”で、民主党政権を弱体化させ、政権交代を台無しにしてしまった点にある。自民党やマスコミが瑣末なことだけで仙谷を追い詰めようとすると、かえってスルリと逃げられてしまう公算が大だ。
~2010年12月7日以前の記事~

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