2010年12月9日0時6分
【ソウル=箱田哲也】北朝鮮による韓国・大延坪島(テヨンピョンド)砲撃を受け、韓国を訪れた米軍制服組トップのマレン統合参謀本部議長が8日、韓国軍トップの韓民求(ハン・ミング)合同参謀本部議長との共同記者会見で、「北朝鮮の脅威に対し、我々は団結しなければならない。(米韓合同軍事演習への)日本の参加を望む」と表明した。
米軍トップが日米韓の軍事協力の可能性に触れるのは異例。同議長は会見で「日本は多くの訓練を実施し、専門性もあるため、大きな助けになる」と述べた。
今年7月にあった米韓合同軍事演習には自衛官がオブザーバーとして初めて参加したが、本格的な参加は集団的自衛権の行使にあたりかねず、困難とみられている。韓国軍幹部も今月の日米演習に初めてオブザーバー参加したが、米韓演習への日本の参加には韓国側に抵抗感がある。
韓国の専門家らは「現状の制約を知りつつも、将来的な3国協調の必要性を指摘し、同時に中国を牽制(けんせい)した発言ではないか」と指摘している。
◇
マレン議長の呼びかけに、日本政府高官は「韓国が応じてくれないというか、許してくれないだろう」と語り、実現性は低いとの見解を示した。防衛省政務三役の一人も「現行憲法の枠内でできるかどうか」と慎重にみる。
安全保障に携わる首相官邸スタッフは「日韓の防衛協力は極めてデリケートな問題で、いま自衛隊が韓国との軍事演習に参加するのは難しい。マレン氏の発言は、日米韓の連携を強化したいというメッセージではないか」との見方を示した。(内田晃)
中東ニュースがわかりにくいのは、何事にも過去の経緯があるからです。最新ニュースをを理解するために知る必要がある用語や基礎知識を、中東駐在の川上編集委員が分かりやすく解説します。