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【主張】米統参議長提案 日韓の防衛協力が肝要だ

2010.12.12 02:45
このニュースのトピックス主張

 北朝鮮の砲撃を受けて日韓両国を訪問したマレン米統合参謀本部議長が「日韓は過去にとらわれず、前進すべきだ」と米韓合同演習に日本の積極的参加を呼びかけた。

 先の日米韓外相会談で政治面の「緊密な連携」は確認されたが、日米、米韓の同盟関係に比べ、日韓があいまいなパートナーのままでは、3カ国の総合力を発揮できない。日米韓の緊密な協力を求めるマレン議長提案を歓迎したい。

 朝鮮半島有事では約2万8千人とされる韓国在留邦人の救出・避難対策など日韓で取り決めが必要な問題も多いが、話し合いはほとんど進んでいない。日韓の防衛協力を早急に進める必要がある。菅直人首相も検討を表明した。

 マレン議長は8日、韓国で「米韓演習に日本の参加を望む」と語り、東京でも重ねて「3カ国で可能なことはすべて必要」(9日)と、地域の安定に日本がより大きな役割を果たすよう訴えた。

 米軍制服組のトップが公式会見で日本に米韓演習参加を繰り返し呼びかけたのは異例だ。それだけ北東アジアの脅威が高まっているとの認識を示すものといえる。

 日本の演習参加について、韓国側には過去の歴史をめぐる対日感情から二の足を踏む声がある。前政権時代には、竹島問題と絡んで日本を「仮想敵」とみなしたこともあった。一方、日本では韓国側の事情に加えて、集団的自衛権行使を認めない憲法解釈と関連づけた否定的対応が多かった。

 仙谷由人官房長官は、議長の提案に「演習だから直ちに集団的自衛権という話にはならない。歴史といろいろな事情がある」と語った。海上自衛隊は今年6月、海賊対処を目的とした環太平洋合同演習(リムパック)で、14カ国合同部隊の多国間訓練に初参加した。憲法解釈を口実に多国間協力を拒むのは、現実から乖離(かいり)している。そうした日本の安全保障環境の問題について、政府も国民も認識を新たにしなければならない。

 日米、米韓の演習に日韓が相互にオブザーバー参加するようになったのは「重要な一歩」(仙谷長官)といえるが、それだけでは到底十分でない。日米韓の実効ある協力を深め、地域の平和と安定に積極参加することが日本の守りの強化につながる。日米同盟の重層的展開と多国間協力に向けて菅首相は指導力を示すべきだ。

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