＜殺人罪＞中国人実習生に懲役１９年　函館地裁判決

　北海道森町の中国人実習生殺害事件で殺人と死体遺棄罪に問われた中国人実習生、鄭軍被告（２５）に対する裁判員裁判で、函館地裁は１４日、懲役１９年（求刑・懲役２２年）の有罪判決を言い渡した。被告は全面無罪を主張したが、中桐圭一裁判長は「公判での供述は信用できない」と述べた。

　鄭被告は捜査段階で殺害を認めたものの、起訴後は否認。犯行の目撃証言などもなく、自白調書と状況証拠の評価が争点だった。

　判決は検察側の主張に沿った形で被害女性から借金返済を迫られていたことなどを認定し「第三者の犯行の可能性があるとは言い難く、被告が殺害し、遺体を埋めたと相当程度推認できる」とした。

　そのうえで自白調書について、犯行の計画性は一貫して否定していることなどから「取調官による誘導」との弁護側の主張を退けた。さらに「（調書にある）凶器やスコップの入手状況は確かに疑義がある」としながらも「ただちに自白調書全体の信用性が欠けるとは言えない」と結論付けた。【佐藤心哉】