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裁判員裁判:北海道 森・中国人実習生殺害 きょう函館地裁判決 /北海道

毎日新聞 12月14日(火)10時37分配信

 ◇「自白」の信用性、焦点
 森町で昨年10月、中国人実習生の女性が殺害された事件で、殺人罪などで懲役22年を求刑された中国人実習生、鄭軍被告(25)に対する裁判員裁判の判決が14日、函館地裁(中桐圭一裁判長)で言い渡される。捜査段階での自白調書が証拠採用されたが、物証は乏しく、検察側と弁護側は有罪か冤罪(えんざい)かで激しく争う。10日には鹿児島地裁で「合理的な疑いが残る」と死刑求刑に無罪判決が出たばかりで、裁判員の判断に注目が集まる。【佐藤心哉】
 ■調書は採用
 鄭被告は警察の聴取で殺害を認め、起訴後に否認に転じた。弁護側は取調官の誘導があったとして、自白調書に証拠能力がないと訴えたが、地裁は「任意性に問題はない」と採用した。
 問題は信用性だ。調書では、ひも状の凶器や遺体を埋めたスコップは「拾った」とされるが、これと矛盾する証言もあり、検察側は「悪質さを隠すため一部うそを言うことはある」と主張する。たとえ一部が信用できなくても、全体像は信用できる、との論法だ。
 鹿児島の裁判では、被告男性の「犯行現場に一度も行っていない」との供述を、判決は虚偽だとしつつ「その一事をもって犯人とすることはできない」とした。ただしこれは「疑わしきは被告の利益に」の原則に基づく結論で、同じ考え方で有罪立証できるとは限らない。
 ■証人
 憲法は「自白しか証拠がない場合は有罪にできない」と規定しており、自白を裏付ける証言や物証が必要になる。裁判では19人が証人として出廷したが、被告側に不利になる証言が目立った。
 当時、鄭被告と交際していた日本人女性は、被告から「私、犯人」と告白の電話を受け、殺害方法についても「ヒモ、ヒモ」と説明があったと証言。ほぼ毎日のデート代は被告が負担し、他の実習生からの借金で賄っていたとも明かした。ただし証人尋問の最後では「今でも(被告が)犯人でないと思っている」と述べている。
 検察側はほかにも▽借金について同僚にうその証言を依頼した▽事件後に自殺を図った▽遺体が埋められた公園に被告と被害女性が一緒にいた−−などの証言があるとして「自白以外の証拠も被告が犯人だと示している」と主張している。
 ■犯行時間
 こうした中、弁護側が最終弁論で冒頭に取り上げたのが、犯行時間を巡る疑問だ。所要時間をシミュレーションし「時間的に不可能」と主張した。
 検察側が目撃証言から推定した殺害時間は午後6時半ごろ。弁護側によると、その後スコップを調達し、穴を掘って遺体を埋め、スコップを捨てるなどするには1時間半以上必要で、知人宅を訪れるには最短で午後8時12分の計算になる。だが実際には、被告は午後7時56分ごろに訪問していたという。
 検察側は「作業を中断すれば犯行は可能」とするが、裁判官と裁判員が「被告が犯人とするには合理的な疑いが残る」と判断すれば、検察側の立証は崩れることになる。

12月14日朝刊

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最終更新:12月14日(火)10時37分

毎日新聞

 

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