菅総理大臣は、太平洋戦争末期に激戦地となった硫黄島を訪れ、日本兵が集団で埋葬された現地を視察し、犠牲者に哀悼の意をささげるとともに、国の責任で遺骨の早期収集に全力を挙げる考えを示しました。
小笠原諸島にある硫黄島では、戦後65年を経た今も1万3000人余りの日本兵の遺骨が見つかっておらず、遺族が高齢化するなか、早期の遺骨の収集が課題となっています。こうしたなかで、菅総理大臣は、14日、自民党や社民党などの超党派の議員とともに、政府の調査で2000人規模の集団埋葬地である可能性が高いとされた、自衛隊の滑走路の近くを訪れ、みずからの目で集団埋葬地があることを確認しました。そして、強い日ざしが照りつけるなか、菅総理大臣は、地中から掘り起こされた遺骨や靴などの遺品を手で一つ一つ丁寧に取り出していました。さらに、激しい戦場となった南部の摺鉢山のふもとも訪れ、担当者からこれまでに152人の遺骨が見つかったという報告を受けると、犠牲者の冥福を祈りました。このあと菅総理大臣は戦没者追悼式に参列し、「国は、家族にとってかけがえのない存在を戦争でお預かりした。元気な姿で帰還できないのであれば、せめて国の責務として、遺骨を返さなければならない。一粒一粒の砂まで確かめ、1人でも多くの帰還につなげるよう約束する」と述べました。菅総理大臣は記者団に対し、「まだ見つかっていない遺骨は多く、飛行場の下や硫黄島以外の地域でも遺骨収集を国の責任でしっかり取り組んでいきたい」と述べました。