PJ: 田中 大也
コミック十社会が、東京国際アニメフェアを「ボイコット」! 拡大する都条例改正問題(後)
2010年12月13日 09:38 JST
【PJニュース 2010年12月13日】製作にあたって多くの人手が必要で、市場規模も大きなものになるアニメは、特に一般的な知名度を必要とする。そのため、漫画や人気ライトノベルが原作で付いている作品が大勢を占めるのが現状だ。
そんな中、「ジャンプ」や「マガジン」、「サンデー」を抱える集英社、講談社、小学館、そして、ライトノベル市場で強力なシェアを誇る角川書店が不参加を表明したという事実は、イベントの成否を考えるにあたって、極めて重大な事態となっている。
アニメフェアのパンフレットを加工して、「ボイコットしたらどうなるのか」を示した画像がネット上に何点も出回っているが、筆者が見た限り、そのいずれも、半減以上の損失を示しており、画像通りに出展取りやめがなされたとしたら、イベントは壊滅状態となるだろう。
イベント失敗の影響は、当然、主催者である東京都や江東区を直撃することになるだろう。イベント開催期間中、十万人を大きく超えると見込まれている来場者は、入場料金を支払い、物販ブースでグッズを購入することで、大きな経済効果をもたらすだけでなく、イベントで、お目当て以外の作品に触れることで、別の作品の売り上げに貢献してくれるかも知れないし、個人レベルではなく、商談やビジネス的判断の一環として来場する人も少なくない。こうしたことから、損失は、来場者数などの目に見える数字よりも、ずっと大きなものになると考えられる。
もちろん、「見本市」への出展取りやめは、企業としては苦渋の決断だっただろう。しかし、大手出版各社が、「一斉ボイコット」という、非常に強力な手段に打ってでなければならなくなったのは、「非実在青少年」よりも、さらに規制の範囲が広まった「改正」案が、それだけ深刻な脅威であり、決して呑めないものだったことの証明でもあるだろう。
今回の「改正」案は、従来の基準に上乗せする形で、新たな規制の枠を設けるものであり、今まで一般向けだった作品を「18禁」にするものである。「18禁」にされたからには、一般向けメディアであるTVでのアニメ放送を行うことは難しくなってくる。ボイコットが相次ぎ、閑散とした状況は、もしかしたら、条例可決後のアニメ業界の未来の姿、かも知れないのだ。少なくとも、条例可決後、どんな経緯を辿るにせよ、東京都や江東区を経済的に利する要素を見つけることは困難だ。
「ボイコット」という衝撃的な事態に注目が行きがちだが、本来考えるべきは、大手出版各社を、ここまで追い詰めた条例案の危険性であり、ボイコットによって、そして、条例施行によって、江東区や東京都や日本全体が、いかに多くの損害を被るのかという点だろう。【了】
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